「しゃがめない」子どもが急増中 増える後逸、上がる被打率…少年野球に及ぼす“悪影響”

「低めの球をすくえない」…捕手にとっては致命的な課題
時代の流れとともに、子どもたちの体に変化が現れている。宮城県大崎市のスポーツジム「FREE STYLE ASSIST」の代表を務める湯山介人さんは、「最近はしゃがむのが苦手な子どもが多い」と指摘する。自宅が洋風化して畳などに座る機会が少なくなったことや、洋式トイレが増えたことが主な要因だ。日常生活でしゃがむ動作が減った今、特に少年野球に関わる親子が注意すべきこととは。
野球においては、特に捕手はしゃがむ動作を余儀なくされる。湯山さんは少年野球チームで指導を行っているが、最近はイニングが進むごとにパスボールが増えたり、落ちる変化球を捕球できなかったりするケースが頻発しているという。捕手が低めの球をすくえないため、高めばかりに要求して被打率が上がるケースも多い。
改善するためには、しゃがむ機会を増やすほかない。湯山さんは鬼ごっこをする際にタッチされたらしゃがむよう指示するなど、ミニゲームの中に立ったり座ったりする動作を組み込むことで自然とその機会を創出している。
学年が上がるにつれトレーニングに動きを組み込むようになるが、ここでも注意が必要だ。湯山さんは「『プロ野球の○○選手が何100キロ持っていたから』と、極端に重いおもりを担いでスクワットをして、腰を痛めてしまう子どもをよく目にします。SNSで情報を得るのもよいですが、重量だけを追求するのではなくスクワットフォームを見直すことが大事です」と警鐘を鳴らす。

「一番先に床に直結する」足裏の感覚養う“裸足で芝生”
また湯山さんはしゃがむのが苦手な子どもの特徴として、「足首の硬さ」を挙げる。足首が硬いと正しいスクワットフォームが身につかず、前のめりになってしまうため、足の下に木の棒など左右対称のものを挟んで実践するよう推奨している。
湯山さんはさらに、足裏の感覚を養うストレッチも勧めている。「基本的にスポーツは足で体を支えて行うので、足が不安定だと効果、効能を得られにくい」と話すように、野球においても地面を踏む足裏の感覚は技術向上の鍵を握る。
最近は靴を履く時間が長い上、舗装された道が増えたため、砂利道や砂浜、雑草の上を裸足で歩く機会が減っている。それに伴い、足の指で物をつかむといった足裏の力も弱まっているという。
そこで有効的なのが、芝生の上を裸足で歩く運動だ。山道などの不安定な環境で行うトレーニングも効果があるが、ホームセンターなどで気軽に購入できる芝生を使えば、自宅でも取り組むことが可能になる。
「指導の際は足首から下に注目することが多いです。一番先に床に直結する足裏の感覚は特に大切です」と湯山さん。「足」の強化が、野球での強みを手に入れることにつながるかもしれない。
(川浪康太郎 / Kotaro Kawanami)
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