今宮健太からもらった“エール” 鷹が叶えた少女の夢…具体的になった未来図

ソフトバンクが「ファイト!九州」の一環として行う「あなたの夢を叶えます!」プロジェクト
ソフトバンクが2016年の熊本地震を機に立ち上げ、取り組みを続けている活動がある。九州を元気にする活動「ファイト! 九州」。その活動の一環として、2021年から始まって5年目となったのが「あなたの夢を叶えます」プロジェクトだ。九州の子どもたちから夢を募集し、一緒にその夢を実現し、子どもたちを元気に笑顔にしようというものだ。
9月15日、ファーム施設「HAWKS ベースボールパーク筑後」でまた1人、少女の夢が形になった。いや、夢を後押しする機会があった。参加したのは鹿児島在住の17歳の女子高校生。高校3年生を迎えた彼女の将来の夢は、整形外科医として、ソフトバンクの選手を支えるスポーツドクターになることだ。この日はリハビリ組の選手たちの練習の様子を見学し、球団のトレーナーやスタッフと交流。まさに“夢の職場”を体感した。
まず、太田利亨リハビリチーフからの業務内容や選手とのコミュニケーションについての説明に真剣な表情で耳を傾けると、タマスタ筑後でのグラウンドでは、左ふくらはぎを痛めて調整中の今宮健太内野手のリハビリを間近で見学。緊張の面持ちで迎えた対面だったが、直接「頑張れ!」と声をかけられる“夢のような瞬間”も訪れた。
実は彼女にとって、今宮は“夢の原点”ともいえる存在だった。もともとソフトバンクファンで「ホークスに関わりたい」「人を助けるドクターになりたい」という“2つの目標”を抱いていた。それが1つに結び付いたのは中学2年生のとき。応援していた今宮が怪我に苦しむ姿を見て、スポーツドクターという職業を知り「ファンとして関わりたい気持ち」と「医師として人を助けたい気持ち」が重なったのだという。
「私が選手に夢をもらって、それをモチベーションに頑張ってこられたので」。そんなお礼を伝えたい思いで応募した今回の企画。「こんなふうにもっと夢に現実味を持てる形で叶えていただいて、とてもうれしいです」と感動を口にした。
この日は齋藤久美ファームアスレチックトレーナーや、チーム戦略室兼編成育成本部育成部の杉山海里さんら、選手を支える仕事をしている女性スタッフとも交流。プロスポーツの最前線で働く先輩からキャリアや仕事のやりがいについて話を聞き、将来像をより具体的に描いた。
1日の体験を終えて「漠然と『なりたい』と思っていた夢が、実際に携わっている方と話したり、リハビリの現場を見て、より明確な目標になりました。これからの勉強のモチベーションにもなりました」と充実感に満ちた表情で振り返った。憧れの選手を目の前に過ごした、かけがえのない時間。「スポーツドクターになって、ホークスの選手たちを支えられるように頑張ります」と決意を口にし、笑顔を浮かべていた。
(森大樹 / Daiki Mori)