大谷翔平、PSでの二刀流へ“理想的な相性” 専門家が2連勝での突破を願う理由

「ワイルドカードシリーズは2連勝で大谷温存が理想」
大谷翔平投手を擁し2年連続ワールドチャンピオンを目指すドジャースが、30日(日本時間10月1日)に行われるレッズとのナ・リーグワイルドカードシリーズ第1戦を皮切りに、ポストシーズンに突入する。現役時代にNPB通算2038安打を放ち、MLBにも造詣が深い野球評論家・新井宏昌氏が展開を予想する。
ドジャースはワイルドカードシリーズ第1戦にサイ・ヤング賞2回の実績を誇るブレイク・スネル投手、第2戦には今季チーム最多の12勝(8敗)を挙げた山本由伸投手が先発。1勝1敗となり第3戦にもつれ込んだ場合は、大谷が先発する可能性が高い。
新井氏は「ドジャースとしては、なんとかワイルドカードシリーズを2勝0敗で突破して大谷を温存し、10月4日(同5日)の地区シリーズ第1戦で相性のいいフィリーズ相手に先発させることが理想。デーブ・ロバーツ監督もそれを願っているでしょう」と指摘する。大谷は9月16日(同17日)のフィリーズ戦に先発した際、5回無安打1四球無失点の快投を演じている。一方でレッズ戦は今季2試合登板し、計8回3失点、防御率3.38だ。
大谷自身はレギュラーシーズン最終盤、フィリーズのカイル・シュワーバー外野手と熾烈な本塁打王争いを展開していた最中にも関わらず、9月27日(日本時間同28日)のマリナーズ戦をあえて欠場し休養を取った。「個人タイトルよりも、より万全に近い状態でポストシーズンに臨むことを優先したのでしょう。ポストシーズンでの投打にわたる活躍がなおさら楽しみになりました」と新井氏は評する。
ドジャースはレギュラーシーズンの最後を5連勝で締めくくり、勢いを持ってポストシーズンを迎える。特に先発投手陣はスネル、山本、大谷に加え、エメット・シーハン投手、タイラー・グラスノー投手、今季限りでの現役引退を表明しているクレイトン・カーショー投手も好調だ。ロバーツ監督はポストシーズンで、シーハンやグラスノーをリリーフで起用する構想を描いている。
アキレス腱はリリーフ陣、戦列復帰の朗希も鍵を握る
新井氏は「ドジャースのアキレス腱は、レギュラーシーズン後半に打ち込まれることが多かったリリーフ投手陣。ポストシーズンでは、調子を上げてきた打線が自チームの先発投手が投げている間にリードし、その後も手を緩めず中押し、ダメ押しと得点を重ねていくことが求められます」と見る。弱点のリリーフ陣ではシーハン、グラスノーの他、救援要員として戦列復帰を果たした佐々木朗希投手も鍵を握りそうである。
昨季はドジャースがワールドシリーズでヤンキースとの名門対決を4勝1敗で制し、“世界一”の座に就いた。だが、ドジャースとヤンキースがともにレギュラーシーズンでリーグ最高勝利をマークし、第1シードでポストシーズンに臨んだ昨季と比べると、今季は両チームの立場が違う。
ドジャースはナ・リーグ西地区優勝を果たしたものの、勝率で中地区優勝のブルワーズ、東地区優勝のフィリーズに及ばず、ワイルドカードシリーズからのスタートとなった。ヤンキースもア・リーグ東地区2位でワイルドカードシリーズに回った。昨季第1シードからワールドチャンピオンとなるには11勝が必要だったが、今季ワイルドカードシリーズからとなると13勝が必要になる。
それでも新井氏は「ドジャースはレギュラーシーズンの最後を5連勝、ヤンキースも8連勝で終えました。ワールドシリーズが昨季と同じ顔合わせとなる可能性も十分あると思います」と予想する。実際、ヤンキースは今季対戦成績(ブルージェイズ戦5勝8敗)で地区2位となったものの、勝率はリーグトップで第1シードの座を射止めたブルージェイズと同率(.580)で、力の差は無い。
今季そろってMLB史上6、7人目の2年連続50本塁打を達成した大谷とヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手が、昨季に続き最高峰で相まみえることになるのか。そうなれば、今季は投手・大谷vsジャッジの直接対決の楽しみも増える。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)