大谷翔平に“不満”「70本打つと」 最多55HRでも栗山元監督は納得せず「もっと驚かせて」

ドジャース・大谷翔平【写真:ロイター】
ドジャース・大谷翔平【写真:ロイター】

栗山英樹氏、黄金像のイベントで“愛弟子”にエール

 二刀流での活躍は、まだまだこんなものではない。日本ハムのチーフ・ベースボール・オフィサーを務める栗山英樹氏が1日、横浜市内で行われた「横浜大黄金展」のイベントに登場。ドジャース・大谷翔平投手の等身大の黄金像がお披露目されると、日本ハム監督時代の“愛弟子”に対して「ずっと黄金で輝き続けてほしい」とエールを送った。

 くしくもこの日はドジャースがレッズとのワイルドカードシリーズ第1戦に臨み、大谷は2本塁打と大暴れ。シーズンでは自己最多55本塁打をマークし、投手としても実戦復帰を果たし圧倒的な存在感を示してきた。それでも「凄いんですけど、ビックリさせるレベルが……」と言葉を濁し“不満”をにじませた。

「70本ぐらい(本塁打を)打つと思っていたので。冗談ではなく、彼の持っているポテンシャルとか天井の高さは、一緒にやってきて心の底から信頼してますし、信じています。『翔平、もっと驚かせて』という感じ。漫画でも『これ描いたら怒られる』というようなものを結果として残している。『こうなってほしい』というこちらの願いを超えていけるし、驚かせることができる選手です」

 2013年に日本ハムに入団した大谷を投手と野手の二刀流として生活面も含めて厳しく指導。1年目の春季キャンプでは遊撃手としても練習させており「キャッチャーは骨折とかあるから現実的ではない。ショートのポジションからスタートしている。一番難しいところからやってほしいという願いがあった」と振り返る。結果的には外野手で1年目は54試合、2年目は8試合に出場し、3年目以降は投手と指名打者の二刀流となった。

 2018年からはメジャーリーグでプレー。「アメリカに行ってどんな進化をするのか、幅を持たせてくれるのか楽しみにしています。何でもできそうなので楽しみです」。もっと上のステージに進む可能性にも言及し「無理だと思ったらできなくなる。『もっと凄いことをやるんじゃないか』と信じられるかどうかが重要。皆さんの思いが重要なんです」と力を込めた。

ドジャース・大谷翔平の黄金像と栗山英樹氏(右)【写真:尾辻剛】
ドジャース・大谷翔平の黄金像と栗山英樹氏(右)【写真:尾辻剛】

WBC連覇に期待「最後は黄金の笑顔を見たい」

 2023年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では監督と選手として、ともに世界一を経験。連覇がかかる来春のWBCに向け「(大谷を)追いかける選手がどんどん出てくると信じたい。ダルビッシュのように引っ張っていった選手もいっぱいいる。日本の底力を見せて、金メダルを獲得してくれると信じています。最後は黄金の笑顔を見たいなと思います」と侍ジャパンに大きな期待を寄せた。

 大谷は2年連続でポストシーズンで奮闘中。昨年に続くワールドシリーズ制覇へ「ポストシーズンは個人の成績は関係なくなる。チームが勝つことだけに集中できる。よく見てると、組織として勢いがつく姿が見え隠れします。そこが重要だと思っている」と見据える。

 その一例で挙げたのがWBCの米国との決勝。3-1とリードした7回、大谷はブルペンで投球準備を始めた。その裏の攻撃で1死から遊撃内野安打を放ったシーンが忘れられないという。「全力疾走して内野安打。その後、併殺でチェンジになったんですけど、投球練習を始めてるのに一塁まで全力疾走する。そういうのが次のプレーにつながっていく。結果じゃなく、姿勢。チームを勢いづけるシーンが彼には凄くある」と称えた。

 大谷にかけたい言葉を問われた栗山氏は「ないです」と即答。「言葉をかけるのは(大谷が現役を)やめる時だと思っている。元気でいる間はずっと何も言わず見守っているだけです。いい時も悪い時もあると思いますけど、ファンを喜ばせてほしいなと思います」。間近で接し、能力を知るからこそ求めるものは大きい。それに応え続ける二刀流。言葉はなくても、そこには師弟の絆がある。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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