「16年連続指名」確実の明大 注目の5人衆…すでに1位公言選手も、気になる“隠し玉”の存在

「希少価値が高く、人気がある」と見られる小島大河
23日に行われる「2025年プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で、16年連続の指名選手輩出が確実となっている明大勢の動向が注目される。既に西武が1位指名を公表した小島大河捕手、上位指名が予想される最速151キロ左腕・毛利海大投手をはじめ、計5人がプロ志望届を提出済み。“5人5様”の魅力を放っている。
小島を1位指名する球団は、必ずしも西武だけとは限らない。DeNA・八馬幹典アマスカウティンググループリーダーは「打者としてコンタクト率が高く、ヒットゾーンも広い。“打てる捕手”は希少価値が高いので、ドラフトで人気があると思います」と評する。
小島は開催中の東京六大学野球秋季リーグでも、リーグ3位の打率.429をマーク(成績は22日現在、以下同)。巨人・榑松伸介スカウト部次長が「小島くんの打撃は、不調の時が見つからない。1試合を通じて全くダメなまま終わったのを見たことがない」と感心する通り、今季は全8試合で安打を放っており、春季の4月20日・東大2回戦以降は18試合連続出塁、5月20日・早大3回戦以降13試合連続安打を続けている。
捕手としても「スローイングは安定していて、捕ってから投げるまでが速い」(榑松次長)と一定の評価がある。さらに“本職”以外でも、今春のリーグ戦中には肋骨を骨折し、中盤以降は一塁手としてプレー。神奈川・東海大相模高2年までは、二塁を守っていた経験もある。
近年のNPBでは捕手が複数ポジションを兼ねるケースも増えており、例えば日本ハムの郡司裕也捕手は今季、捕手として19試合、一塁手で21試合、三塁手で46試合、左翼手で11試合、指名打者としてに2試合にスタメン出場し、バラエティーに富んでいた。打撃が良く、捕手以外にも守れるポジションがある小島も、出場機会を得やすいタイプと言えそうだ。
最速155キロの守護神、故障上がりの2人にも注がれる熱視線
エースの毛利も上位指名が濃厚だ。今季4試合3勝0敗、防御率1.38の好成績で、チームを5季ぶりの優勝決定に導いた。「ストレート、チェンジアップ、スライダー、カーブなど全ての球種で思い切り腕を振れるところが、彼の長所です」と前出のDeNA・八馬リーダー。オリックスの山口和男アマスカウトグループ長は「特にチェンジアップの“抜け”が素晴らしい」と評価する。
昨秋のリーグ戦途中からエースの座をつかみ、今春は6勝0敗、リーグトップの防御率1.34をマークする無双ぶり。今夏の日米大学野球選手権では、侍ジャパン大学代表の主軸としてリリーフ、先発に3連投し、計7イニングを無失点に抑えて最優秀投手賞を獲得した。右肩上がりに成長を続けているところも、プロとしては好印象。即戦力左腕として高い評価を受けている。
一方、チームの守護神・大川慈英投手も最速155キロを誇るストレートの球威で注目されている。特に今季は7試合(計9イニング)無失点の快進撃で、リーグ優勝が決まった19日の早大2回戦では、1-0の僅差で迎えた8、9回の2イニングをパーフェクト、3三振に抑えた。
球団によって評価が分かれそうなのが、“故障上がり”の2人である。久野悠斗投手は最速152キロ左腕として下級生の頃から注目されていたが、昨年4月にトミー・ジョン手術とクリーニング手術を受け、その後3季連続で登板なし。今季は4シーズンぶりにリーグ戦復帰を果たし、2試合(計5イニング)無失点の結果を残しているが、手術前の球威は戻っていない。それでも明大関係者は「久野の状態を練習グラウンドまで来てチェックしているスカウトがいる」と証言しており、指名の可能性を残している。
高須大雅投手は192センチ、94キロの“メジャーサイズ”の体格から放たれる最速153キロの速球が魅力。昨春のリーグ戦で最優秀防御率(1.38)のタイトルを獲得した時には、明大の同級生の中でプロが最も注目する存在だった。ところが、大学最終年の今年はコンディション不良で、春は7試合1勝2敗、防御率6.87の不振。潜在能力の高さを買って指名に踏み切る球団があるかどうか……。
明大は2010年から昨年まで15年連続でドラフト指名選手を輩出しており、これは史上最長記録となっている。今年も更新は確実で、来年を見据える3年生にも、今季3番に座り8試合で打率.353、2本塁打7打点をマークしている榊原七斗外野手、好守の二塁手で打率も.393を誇る岡田啓吾内野手らがいる。
「人間力野球」を掲げ、この秋に5季ぶりの優勝にこぎ着けた明大は、来年以降も長くプロから熱視線を浴び続けることになりそうだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)