前人未到の偉業も「違和感が」 大谷翔平が初めて明かした苦悩…現在地に充実感

大谷が語る二刀流の現在地「本当に自分のやりたいように体がついてきている」
二刀流・大谷翔平のベストシーズンはいつか。個人的には二刀流で15勝&34本塁打。規定打席と規定投球回の「ダブル規定」を初めてクリアしたエンゼルス時代の2022年だと思っていた。投打の結果だけ見れば確かにそうなのかもしれない。だが、本人の感覚的には違ったようだ。
ワールドシリーズ中の26日(日本時間27日)に行われた記者会見。2年ぶりに投手復帰した今季について「不安なくしっかり投げられているなというのが一番の違い」と語り、エンゼルス時代の投球には違和感があったと初めて明らかにした。
「2022年、2023年と投げましたけど、やっぱりこう、どこか思い通りにはいかないなという違和感がありながら投げている時期もあったので。今は今のところ、そういうことはなく、本当に自分のやりたいように体がついてきているなと思います」
2022年9月のシーズン最後の取材会見。翌2023年3月にはWBCが控えていた。「WBCはずっと出たいと思っていた」「選ばれれば光栄」。常に前向きな姿勢を見せていたが、いざ出場の可否については「万全な状態で出られるかどうなのか。1回ゆっくりして体をリセットしてから」とかなり慎重だった。いかに投打でのプレーを続けることが難しいかを感じさせる発言だった。
今年は6月に2年ぶりに投手復帰。レギュラーシーズンを進める中でリハビリを続けたが、このポストシーズンでは球数やイニング制限もなくなった。このポストシーズンでは投手で2戦2勝、防御率2.25。12回を投げて19奪三振、4四球と抜群の安定感を見せている。
「去年は肩の怪我もあって、なかなかシリーズ自体に全力で集中できるような状況ではなかった。そういう意味では違うと思いますし、肘の状況も含めて、健康体でプレーできることに日々感謝したいです」
28日(同29日)の第4戦ではワールドシリーズ初めて投打同時出場する。ポストシーズンで2試合連続の完投勝利を飾った山本由伸について「本当に素晴らしかったと思いますし、素晴らしい対戦相手にあれだけのピッチングをしてくれたのは、チームメートとして誇らしいなと思っています」と称えたが、“完全体”の大谷翔平なら新たな伝説を作ってくれそうな予感がある。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)