身長194cm、怪物候補が突如挑んだ“新ポジション” 気になるNPBスカウトの評価は?

帝京戦の7回にタイムリーを放った山梨学院・菰田陽生【写真:加治屋友輝】
帝京戦の7回にタイムリーを放った山梨学院・菰田陽生【写真:加治屋友輝】

プロ注目の菰田陽生を擁する山梨学院が初戦突破

 高校生の中でひと際目立つ怪物候補が躍動した。第56回明治神宮野球大会は14日に神宮球場で開幕。高校生の部は1回戦が行われ、山梨学院(関東地区)が帝京(東京地区)を6-3で破り、準々決勝進出を決めた。プロ注目の菰田陽生(こもだ・はるき)投手(2年)は「3番・三塁」で先発出場し、4打数2安打1打点。6回にはマウンドに上がるなど、投打“二刀流”の活躍を見せた。

 菰田は身長194センチ、体重100キロの恵まれた体格を生かして、今年は春、夏ともに甲子園に出場。特に夏はエースとして山梨学院初のベスト4へと牽引した。

 しかし、準決勝の沖縄尚学戦で右肘を痛めて初回の16球で無念の降板。チームは準決勝で敗れた。その後は野手での出場がメインに。今大会は背番号「3」で登録され、出場するポジションは一塁がメインの予定だった。

 ところが、チームにアクシデントが襲った。遊撃を守っていた住友輝人内野手(2年)が怪我で離脱。三塁を守っていた藤田蒼海内野手(2年)が遊撃へ移ることになり、三塁は菰田に白羽の矢が立った。ポジション変更を伝えられたのは、今大会の10日前だったという。「(今後に向けて)本当に良いチャンスだった」と、意気込んで試合に臨んだ。

 公式戦では初めて背番号「5」をつけての出場だったが、神宮をどよめかせたのは5回2死二塁の場面。強烈な三遊間の打球にダイビングキャッチ。一塁へも安定したスローイングを見せて三塁守備の不安を払拭した。「あそこで抜けていたら、1点を失っていた。チームとしても本当に良かった」と、胸を撫でおろした。

 バックネット裏で見ていたスカウトも菰田に熱視線を送る。ソフトバンク・松本輝アマチュアスカウトは「スローイングも安定していましたね。今後の選択肢が広がると思うし、この挑戦は面白いと思う。パワーは高校生の中でずば抜けているし、194センチの選手はなかなかいませんから、今後どんな選手に成長してくれるか、すごく楽しみです」と評価した。今後プロを目指す菰田にとって、サード挑戦は将来の可能性を広げる良い機会になる。

 打撃でも7回に中堅へ適時打を放つなど、チームの勝利に貢献。新チームで主将を務める16歳は、責任感も人一倍だ。「夏の甲子園で本当に悔しい思いをして負けたので、自分たちの夏で絶対に取り返したい。そのためには今後は一戦一戦が本当に大事。1試合でも多くの試合をしてチームとして成長していきたい」と、気を引き締めた。

(神吉孝昌 / Takamasa Kanki)

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