巨人在籍1年も…感じたDeNAとの違い 受け継がれる伝統、浸透する“秘伝のタレ”

巨人時代の三上朋也氏【写真:小林靖】
巨人時代の三上朋也氏【写真:小林靖】

三上朋也は2022年オフにDeNAを戦力外→巨人と育成契約

 NPB通算368試合登板で23セーブ、121ホールドをマークした三上朋也投手は 2022年オフにDeNAを戦力外となり、巨人へ育成契約で入団した。わずか1年間のプレーではあったが、そこで実感したのは、伝統が生み出す組織の強さだった。

 19試合の登板で終わったDeNAでの2022年シーズン終了後、三上は戦力外通告の可能性を感じていた。「60%、70%ぐらいであるのかなと思っていました。成績もよくなかったので」。そして、球団事務所への呼び出し電話を受けた時点で“100%”だと感じた。

 当時33歳、体はまだ動く。現役続行を目指して自主トレを続けるなか、巨人から育成契約でのオファーが届き「ありがとうございます。よろしくお願いします」と即決した。入団後、すぐに伝統の球団の一員となったことを感じたという。

「大人の高校野球みたいな感じですかね。それはすごく思いました。先輩後輩の関係がしっかりしているし、みんながちゃんとした振る舞いを求められる。高卒入団の子たちも順応しようとする面があったし、それを徹底するチームとしての統率力みたいな部分は裏方さんも含めてすごいなと思いましたね」

 巨人の伝統が代々受け継がれていくことを「継ぎ足し、継ぎ足しの秘伝のタレみたいなのがある感じです」と例えた。新しく出店したうなぎ店と100年続くうなぎ店では、クオリティも安心感も違う。食材が独自のタレに漬かって深い味が出るように、巨人の新入団選手も伝統という“秘伝のタレ”に漬かることで、自覚と責任が染み込んでいくのだと語った。「これがやっぱりジャイアンツの強さなんだなと思いました」。

DeNAの取り組みは「選手として楽しませてもらいました」

 決して9年間プレーしたDeNAを軽視しているわけではなく、むしろ「指名してもらい、育てていただいた感謝の気持ちしかない」と語る。ベイスターズは2012年から親会社がDeNAに変わったばかりで、三上は翌2013年のドラフト指名で入団した。球団が実施した数々の斬新な企画は球界に新たな“風”を吹かせた。

「母体がベンチャー起業ということもあって、勢いがあった。野球も運営も、新たな取り組み、挑戦を歓迎する風土がありました。横浜スタジアムがボールパークとして老若男女に受け入れられ、来場者数が増えたのも、新しい試みが実った形ですよね。選手としても楽しませてもらいました」と回顧した。ただ、新しく誕生したDeNAと巨人との歴史の違いは変えようのない事実であるのだ。

 三上が巨人でプレーしたのはわずか1年。しかし、その短さとは裏腹に、伝統の味わいは深く体に染み渡り、球界の盟主が背負う“重み”を実感する貴重な時間となった。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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