NPBにもピッチクロックの必要性 専門家が説く日米の差…MLBと雲泥の“間延び”

侍ジャパンナイン【写真:小林靖】
侍ジャパンナイン【写真:小林靖】

3月のWBCでも採用、NPB選手が慣れるには時間がかかるか

「NPBにも、一刻も早く“ピッチクロック”を導入すべき」との声が上がっている。投手が走者なしの場合にはボールを受け取ってから15秒以内、走者がいる場合には18秒以内に投球動作を開始しなければならないルールで、MLBが試合時間短縮を目的に2023年から導入し、今年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも採用される。

 現役時代にNPB通算2038安打を放ち、現在はMLB中継の解説などで活躍中の野球評論家・新井宏昌氏は「最近一般の方々と話をしていると、日本のプロ野球よりメジャーリーグの方が面白いとおっしゃる方が非常に多いです」と指摘。その一因として「ピッチクロックを導入しているメジャーリーグは非常にテンポが良く、観ていて間延びしないところがいいのだと思います」と分析する。

 一方で従来から、日本には「野球は間(ま)のスポーツ」との見方があり、じっくり時間をかけ、投手と打者やベンチ同士の駆け引き、心理戦を楽しむファンが多いともいわれてきた。

 新井氏は「そういう声があることも承知しています。しかし、球場に足を運び独特の雰囲気の中で観戦しているならまだしも、特にテレビ観戦の場合は、試合が間延びしてくると、アナウンサーや解説者が一生懸命いろいろな話をして埋めようとするわけですが、『そんなことより、早く投げろよ』と思う方々の方が多いのではないでしょうか」と感じている。

 3月のWBCにも、MLBのルールに準拠する形でピッチクロックが採用される。ドジャースの大谷翔平投手ら普段MLBでプレーしている選手にとっては問題にならないが、NPBの選手が慣れるには時間がかかる。昨年11月に行われた侍ジャパンの宮崎強化合宿でも、ピッチクロックの練習に時間が割かれたが、戸惑いを隠せない選手も多かった。WBCで大会連覇の障壁となる可能性がある。

DH制はセ・リーグも2027年シーズンから導入「遅すぎる」?

 新井氏は「日本国内で野球の競技人口の減少が危惧されている中、NPBを飛び越えてメジャーリーグを夢見る子どもも多いのですから、ルールをメジャーや国際大会に合わせていくことは避けられないと思います」との見解を示す。

 さらに新井氏は、DH制度が2027年シーズンからセ・リーグに導入される件にも言及する。

 DH制はメジャーのア・リーグが1973年に採用したのを皮切りに、日本のパ・リーグが1975年、メジャーのナ・リーグも2022年から導入。伝統的な“9人野球”を死守してきた東京六大学野球も今春のリーグ戦から、日本高野連も今春の公式戦からDH制に移行することが決めた。9人野球の“最後の砦”となっていたセ・リーグもついに、今年を移行期間とした上で、2027年からDH制導入に踏み切ることになったのだ。

 新井氏は「セ・リーグでも以前から巨人の原辰徳前監督らがDH制導入の必要性を訴えていました。(2027年からでは)遅すぎるくらいです」と感じている。NPBがルール改変の荒波にもまれながら、重大なターニングポイントを迎えつつあることは間違いない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY