店長からダメ出し…配送業の過酷さ痛感「お金を稼ぐ大変さ」 プロ入り遠回りも得た財産

DeNAドラ4・片山はドラフト指名116人の中で最年長の27歳でプロ入り
落ち着きのある受け答えはさすがと言ったところだろうか。DeNAのドラフト4位・片山皓心投手(Honda)は、昨秋のドラフト会議で指名された116人(育成含む)の中で最年長の27歳。新人合同自主トレ開始から数日が経ち「サポートしてくれるスタッフの方とか、同期も年下ですけどいい子ばかりで、やりやすい環境でやらせてもらっています」と汗を拭った。
桐蔭横浜大からHondaに入社した1年目から、解禁イヤーとなる翌年は“ドラ1級”と目されていた。しかし12月に左肘を手術し、2024年5月には再び同箇所にメスを入れた。プロという目標が遠ざかったときもあったが、社会人5年目にして夢を掴んだ。そんな左腕には、大学時代に変わった“経歴”がある。「監督が『お金を稼ぐ大変さを知りなさい』とおっしゃってバイトが許可されていたのでみんなやっていました」と練習の合間を縫って、ほかの部員たち同様アルバイトに勤しんでいた。
大学1年夏、野球部の先輩の紹介でスーパーマーケット「東急ストア」で人生初のアルバイトを開始した。値下げの時間になると店内放送を担当し、ときに店長から「声が小さい」とダメ出しを受けながら喋りを学んだ。惣菜をつくるキッチンの後掃除で指に影響が出たため辞めることになったが、1年半ほど続けていたという。
その後は配送会社「ヤマト運輸」で数か月、配送を担当した。「助手席に乗って、マンションに着いたら20個くらい荷物を渡されて届けに行くんですけど、アマゾンのセールの時期とかすごい数になるんです。5階建てでエレベーターがないところがあって、2リットル飲料のケースを持って上がって行って、家にいないときはもう……」。期せずして足腰も鍛えられていたようだ。
そして大学3年の終わりからはじめたのが、人気牛丼チェーン「すき家」のアルバイトだった。当時の時給は1100円。週5でシフトに入る時もあり、キッチンもホールもこなしていた。それどころか「時間によってはワンオペのときもあって」と敏腕ぶりを発揮。「返事や笑顔はとにかく言われていて、愛想よくかつスピーディーに次のお客さんを座らせることは意識していました。それがキッカケかはわからないですけど、練習をダラダラやらないとか身についたところかと思います」と誇らしげだった。
「怪我があって、治療や通院で何かとお金がかかったので、そういうので親に負担をかけないようにと思って(アルバイトを)やっていました。結構珍しいですよね。それに加えてひとり暮らしだったので、なかなかない経験をしたかなと思います」。27歳でプロ入りを果たすのも“なかなかない”こと。「すごく新鮮な環境で今楽しいです」と目を輝かせた片山が、培った土台を活かして飛躍する。
(町田利衣 / Rie Machida)