西武大補強の裏で…コーチが懸念する“モチベ低下” 伝播する負の感情、若手に危機感

球団は桑原、石井一、林安可、カナリオなど…野手の大型補強を敢行
3年連続Bクラスからの再建を図る西武がこのオフ、大型補強を連発した。FAではDeNAから桑原将志外野手、日本ハムから石井一成内野手をダブル補強。台湾球界の大砲・林安可外野手や、昨季メジャーで6本塁打のアレクサンダー・カナリオ外野手も獲得。得点力強化が期待される。一方で、その反動としてレギュラー争いに“フタ”をされてしまった格好の若手野手陣のモチベーション低下が懸念されている。
熊代聖人外野守備・走塁コーチは13日、新人合同自主トレを視察中のカーミニーク・フィールドで「ちょっと、どういう起用になるか分からないんですけど、西口監督も『レギュラーはネビンだけ』ということも言われていた」と前置きしながら、自らの担当である外野陣についてはこう続けた。
「他は争ってという形になると思うんですけど、新外国人の一人はちょっと守れるみたいなので新外国人、(西川)愛也、桑原君、長谷川、で渡部聖弥がサード挑戦という形になっている。そこらへんどうなるか分からないんですけど、昨シーズンやったから今年も、というのはないという感じなので楽しみですね。みんながどういう表情で、どういう仕上がりで(キャンプに)入ってきてくれるかすごく楽しみ」
熊代コーチは「桑原君が熱い男だというのは分かっているので、チームにすごくいい影響を与えてくれると思いますし、そういう意味ではいい競争ができるんじゃないかなと思います」と、背番号7のガッツマンがもたらすであろう化学反応に期待を寄せた。
一方で、8年目の昨季にキャリアハイの124試合で10本塁打を放ち、守備でもゴールデングラブ賞を受賞した西川について「僕がいえることではないんですが、守備に関していえばもちろん愛也が安定はしていますし、(今年も)チームを助けるプレーとかも期待している」とコメント。思えば2019年オフの秋山翔吾の流出以後、外野のレギュラー不在が5年間続いた状況をようやく打破できたことがこの談話からもうかがえる。
熊代コーチの決意「モチベーションが下がらないよう」
チームの課題だった選手層に厚みをもたらし、高いレベルでの競争激化が見込まれる西武だが、熊代コーチは一抹の不安も抱えている。「オフに球団が頑張ってくれて、大型補強みたいな感じになった。そこは喜ばしいと思うんですけど、ただ僕が懸念しているのは、昨シーズンまで頑張ってきた若い子達、生え抜きの選手達のモチベーションが下がらないようにしたいです」。
さらに続ける。「明らかに(補強が)1か所だけではないので、そこを考えると選手達も少なからず“絶対使うじゃん”ってなるじゃないですか。誰が見てもそうでしょうし、もちろん、それに負けないように競争はしてほしいし、勝ち抜いてほしいとは思いますけど、そこでモチベーションが下がらないようにしなければいけないなと思っているところです」と、大型複数補強が若手に与える懸念点を指摘した。
チームが強くなるために来る新戦力は、2月のキャンプから大いに自身をアピールして、まずはチームにその特徴を知ってもらうことが先決だ。それによって既存戦力の闘志にも火が付きチーム内競争は放っておいても激化する。
その一方で、熊代コーチが目を光らせているのが、今回の戦力強化が若手のマイナス思考につながってしまうこと。「例えば長谷川などは今年に賭ける思いが強いでしょうから、そこらへんのテンションが下がらないように。上向き、上向きになるようにしてあげたい」と、6年目の23歳外野手の現状を気にかけている。
また、昨秋キャンプから三塁へのコンバートに挑戦中の2年目・渡部についても「もし内野のレギュラー争いで負けたら、あの打力をどうするんですか? となって(左翼に)戻ってくる可能性はゼロではない。そこも含めて、選手のモチベーションというのは保ってあげないといけない。みんながみんな、同じ気持ちでやらないとチームというのはひとつになれない。一人でもマイナスのこと考えている、沈んでいるとそこからどんどん広がっていちゃうんで。そういうところはうまく取り除いていって。ひとつになれるようにしていかないとと思います」。
選手時代、恒例だった試合前訓示で「ライオンの雄は狩りをしない」などの”迷言“でチームメートを和ませ2018、19年のリーグ連覇に貢献した元バイプレーヤーがコーチとなり選手の気持ちに寄り添った“モチベーター”となっている。
(伊藤順一 / Junichi Ito)
○著者プロフィール
東京都生まれ、埼玉育ち。早大卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。整理部を経て野球担当。ヤクルト、西武、ロッテ、日本ハム、MLBなどを取材。2026年1月からFull-Count編集部に所属。