中学強豪が“硬式リーグ移籍”を決断したワケ 巨人OBが明かす背景と「最大のメリット」

NPB595登板の前田幸長氏が説明…会長務める少年野球チーム“移籍”の背景
子どもたちに少しでも公式戦の緊張感を経験してほしい――。元巨人投手の前田幸長氏が会長を務める神奈川県の中学硬式野球チーム「都筑ジャイアンツポニー」は、2008年のチーム設立から19年目を迎えた。120人を超える部員を運営する中、2025年4月にはボーイズリーグからポニーリーグに移籍。選手のプレー環境に大きな変化が生じた新たな挑戦の背景を説明した。
「ポニーはリーグ戦で、公式戦の試合数が多いんです。リーグ戦の上位2チームが決勝トーナメントに進めるので、仮に最初の試合で負けても、残り試合を勝っていけば公式戦が続きます。負けたら終わりのボーイズリーグとの違いはそこで、1試合負けても終わりじゃないというのが最大のメリットです」
前田氏は2月22日、東京都稲城市のジャイアンツタウンスタジアムで開催された、スチールエンジグループ主催の野球教室「キッズベースボールランドin東京」に講師として参加。小学生約400人を前に熱心な指導を繰り広げながら、ポニーリーグ移籍の経緯を明かした。
少年野球の公式戦は、ほとんどがトーナメント形式。しかし、ポニーは1ブロック5チーム前後に分けてリーグ戦を実施し、上位2チームが決勝トーナメントに進出して全国大会の切符を争う。リーグ戦の初戦で敗れても巻き返すチャンスがある。公式戦の試合数を重ねられるのだ。
2月23日に始まったリーグ戦には、ひとつの団体から4チームが出場できる。大所帯の都筑ジャイアンツポニーも3チームが参戦。多くの選手に出場のチャンスが与えられる。「オープン戦も多く組んでいますけど、緊張感が足りない部分があります。ありがたいことに、うちのチームには選手がたくさんいる。公式戦の緊張感をできるだけ多くの選手に経験させてあげたい。それが移籍した一番の理由です」。
福岡第一高3年の1988年夏の甲子園で準優勝し、同年ドラフト1位でロッテに入団。中日、巨人と合わせてNPB通算19年間で595試合に登板した他、米球界にも挑戦した名左腕が率いるチームは人気が高い。3年生が抜けた現在は1、2年生合わせて70人以上の部員がいる。小学校を卒業して4月から加わる新入部員は50人超。130人近い選手にできるだけ多くの出場機会を与えるには、リーグ戦以外にも大会数が多いポニーは魅力的だった。
ポニーへの移籍決断に多くの共感…新入部員募集を“最速”で締切
ただ、それは前田氏の考え。選手や保護者の理解を得られるのか、「心配していたんです」と振り返る。しかし、その心配は杞憂に終わった。チームを設立した1年目の3年生を1期生、2年生を2期生、1年生を3期生とすると、新入部員は21期生。「21期生は最速で募集を締め切りました」という。
昨年10月に新入部員の告知をすると応募が殺到。1か月で50人以上が集まったそうだ。「ポニーに移籍したので、僕の思いを保護者の方々にも説明しています。こういう経験をさせたいから、ポニーに移籍しましたとお話するんです。保護者の方々も納得してくれたのかなと思います」。
一方で昨年9月、ボーイズリーグが、他リーグに移籍したチームとの練習試合などの交流を禁止する通達を出したことには、「今は野球人口が減っています。なぜ交流の機会を奪うのか分かりません」と疑問を呈する。リーグを移籍したのは、選手ファーストの考えからであり、その根底にあるのは野球界のさらなる発展だ。前田氏は子どもたちが思い切りプレーできる環境を整えることを最優先に動いている。
(尾辻剛 / Go Otsuji)
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