我が子にだけ厳しいのは「贔屓じゃないか」 パパコーチが気をつけたい“理不尽な指導”

野球講演家・年中夢球氏が語る、家庭と野球を壊さないための厳格なルール作り
学童野球で我が子が所属するチームの指導者、いわゆる“パパコーチ”を引き受ける保護者は多い。しかし、熱が入るあまり我が子に厳しく接してしまい、親子の距離感に悩むケースは後を絶たない。保護者と選手のベースボールメンタルコーチとして活動する野球講演家の年中夢球(ねんじゅう・むきゅう)さんも、長男のリトルリーグ時代に後悔を抱えた一人だ。
年中夢球さんは長男がリトルリーグに入った際に、パパコーチとしてチームに加入した。だが、熱心な指導と息子への期待が抑えきれず、当時は結果でものを言い過ぎていたという。長男が試合や練習で結果を残せなかった時には、歯がゆさを感じ厳しくあたる場面が多かった。
ただ、それは結果的に“親子の関係”を悪化させることになってしまった。グラウンドでも家でも怒られる環境を作ってしまい、長男からすれば「お父さんがずっといなかった」という感覚を抱かせてしまう。当時は甘やかす指導は推奨されておらず、厳しさに耐え成長していくのが当たり前の時代だった。
厳格なパパコーチとして歩んでいたが、ある時、当時の監督からポツリと言われた言葉に年中夢球さんはハッとした。「他の子に同じ口調で怒れるならいいが、自分の子だけ厳しいのは贔屓(ひいき)じゃないか?」。良かれと思った指導を指摘され、ようやく間違いに気づかされたと振り返る。

「理不尽と分かってやる行為は絶対に防がないといけない」
この反省から、グラウンドでしか野球のことは言わないと決断した。送迎の車に乗った瞬間から野球の話はせず、子どもから相談された時だけ一緒になって考える姿勢に変えた。現在、悩みを抱えるパパコーチに向けても、「お父さん」と「コーチ」の境界線を明確にし、自分自身に厳格なルールを作ることを推奨している。
チームの雰囲気がたるんでいる時、空気を引き締めるために自分の子をだしに使って怒る指導者もいるが「これは避けるべき」と断言する。グラウンドではコーチ、グラウンドを出たらお父さんに戻る。息子にも接し方を伝えておき、お父さんでいる場面とコーチでいる場面を親子でしっかり分けて認識しておくことが大切になる。
「スポーツは昔から、上下関係や指導で理不尽なことが多いとされています。『社会に出たら理不尽なことだらけ。野球で経験を積んでおけば大人になって生きてくる』と言う指導者はいますが、それは間違い。理不尽と分かってやる行為は絶対に防がないといけない」
小学生にとってみれば大人の言葉は絶対的なものと捉えてしまう。恐怖や力で支配するのは、子どもにとっても悲しい出来事であり、野球を辞める原因にも直結する。パパコーチとしての役割に迷った時は、まずは一人の父親に立ち返り、子どもとの接し方を見つめ直したい。年中夢球さんは、4月に開催される「少年野球パパコーチ講座」に出演予定だ。
◎オンラインイベント「少年野球パパコーチ講座」を4月に開催します。詳細はこちら
https://first-pitch.jp/article/coaching-methods/20260304/15235/
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
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