「田んぼみたい」の声に奮起「雨が降ればチャンス」 巨人U15の日本一阻んだ“反骨心”

スターゼンカップで優勝した湘南ボーイズ【写真:尾辻剛】
スターゼンカップで優勝した湘南ボーイズ【写真:尾辻剛】

創部38年目の意地…湘南ボーイズが決勝で創部3年目の多摩川ボーイズを撃破

 長く積み重ねてきた意地が勝った。ボーイズリーグ春の全国大会「スターゼンカップ 第56回日本少年野球春季全国大会」は3月31日、東京都大田区の大田スタジアムで中学の部の決勝戦が行われ、湘南ボーイズ(神奈川県央支部)が多摩川ボーイズ(東京都西支部)を4-3で撃破。4年ぶり3度目の決勝進出で、悲願の初優勝を飾った。

 初回1死二、三塁で、相手投手の暴投により先制点を奪取。なお1死三塁から4番・今任葵が「もう1点欲しかったので、何としても打ってやろうという気持ちで打席に立ちました」と中前適時打を放ち、試合の主導権を握った。今任は3回にも遊撃適時内野安打。先発マウンドにも上がって3回無失点と投打にチームをけん引した。

 相手は昨夏のジャイアンツカップで、2年生以下のメンバーにもかかわらず4強入りした中学硬式野球屈指の強豪。横浜緑ボーイズとの準決勝で完封勝利を挙げた今任は、連投となった決勝でも「受けてしまうと勝てないので、インコースに強い球で攻めていこうという意識で投げました」と強気の投球でゼロを並べた。

 投手と打者だけではない。走者も積極的に仕掛けた。2回にけん制死、3回には盗塁死があっても消極的にならない。2番手・新倉一輝が3失点して同点に追いつかれたが、5回に機動力を警戒する相手捕手のけん制悪送球で好機を広げ、藤崎湊士の右前適時打で再びリードを奪って逃げ切った。

 創部38年目のチームを率いる田代栄次監督は「普通にやったら勝てないので、思い切って攻めるだけだった。逃げるのはやめようという姿勢でした。走塁も同じです。向こうも戸惑ってミスが出たと思います」と会心の笑み。創部3年目の相手と比較し、「1人1人の力は多摩川ボーイズさんとは比べ物にならないくらい劣っていますけど、ウチには先輩たちが作ってきた歴史がある。人数も多い。それは相手チームにないものです」と胸を張り、こう続けた。

「多摩川ボーイズさんのように最先端ではないですけど、ウチはウチなりのチームの作り方がある。泥くさくやって、みんなが求めているものをひっくり返してやろうと思いながら頑張りました。子どもたちが無欲に取り組んだ結果です」

雨中の決戦…悪条件の方が「自分たちにもチャンスがある」

 多摩川ボーイズは、巨人が2024年に球団創設90周年の記念事業の一つとして設立した、15歳以下(中学生年代)のジュニアユースチーム。今大会主催の1社である報知新聞社とは関係が深いため、田代監督は「多摩川ボーイズさんにとっては初年度に入った選手で初優勝が理想だったでしょう。報知新聞さんも多摩川ボーイズさんが勝つ新聞を用意していたと思うんですけど、残念な結果にしてやろうというつもりで頑張ってやってきました」と茶目っ気たっぷりにコメントした。

 ボーイズリーグでしのぎを削るライバルだけに、意識するのは当然だ。神奈川県内のグラウンドで多摩川ボーイズと練習試合を行った際、「『こんな田んぼみたいなところでやっているんだ』って声が聞こえてきた」という。

「ウチはそんな田んぼみたいなところでやっている。多摩川さんみたいに、いい室内で練習できるわけでもない。だから雨が降ったり、風が吹いたりすれば自分たちにもチャンスがある。もうドロドロになったらウチの野球だと思っていました。普段からそんなにいい環境でやっていないので、もっと雨が降った方がチャンスなんじゃないかと考えながらやっていました」

 歴史あるチームの意地と執念で雨中の一戦を制し、次なる目標は過去3度優勝している夏の日本選手権制覇。「下級生も入れながら、選手の入れ替えもして、もう1回チームを作り直します。競争させてチーム力も上がってくると思います」。部員160人の大所帯には、まだまだ未知の可能性が詰まっている。初の春夏連覇へ、歴史を紡いでいく。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

少年野球指導の「今」を知りたい 指導者や保護者に役立つ情報は「First-Pitch」へ

 球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。

■「First-Pitch」のURLはこちら
https://first-pitch.jp/

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY