試合前の「頑張って!」が逆効果になるワケ 野球親子の関係を円滑にする“秘訣”

子どもの心に寄り添う最適な声掛けとは?
大会シーズンが近づき、週末の試合に向けて緊張感が高まる時期になりました。懸命に白球を追いかける我が子を見て「今日の試合、頑張ってね!」と励ましたい反面、その一言がプレッシャーにならないか、子どもに良かれと思った言葉が裏目に出てしまわないかと不安を感じるママ・パパも多いのではないでしょうか。
では、親子の信頼関係を深め、子どもがベストなコンディションで臨めるようにするための「見守る」の正体とは……? First-Pitchのポッドキャスト番組「野球ママへの応援歌」より、プロアスリートから部活動、ビジネスパーソンまで幅広くサポートしているメンタルトレーナーの柴田梨恵子さんの話をもとに、親としてどのようなスタンスで向き合うべきか、具体的な方法を考えます。
学童野球に携わるママ・パパたちが陥りがちなのが「私がこう言ってあげないと、この子は力を発揮できないのではないか」という思い込みです。しかし、柴田さんは、声掛けにおいて最も大切なのは主語を自分(親)にしないことだと指摘します。親が言いたいから言うのではなく、子どもがその言葉を必要としているかを見極める視点が不可欠です。
「親が、私が、ママが、パパがって主語が自分になってしまうことが、大きな過ちにつながってしまう」と警鐘を鳴らします。
親の不安を解消するための声掛けは、時として子どもの集中を削ぐ可能性があります。まずは、子ども自身の感情がどこにあるのかを観察すること。不安そうにしているのか、それとも一人で集中したいのか、そのサインを見逃さないことが適切なコミュニケーションの第一歩です。
子どもの“感情の波”を受け止め、見守る勇気を持つ
時には、子どもが試合後にふさぎ込んでいたり、イライラして八つ当たりをしてきたりすることもあるかもしれません。そんな時、親としては経験則をもとにしたアドバイスをしたり、励ましたりしたくなります。しかし感情が大きく動いている最中は、正論を伝えても心には届きません。大切なのは、その「もやもや」を子ども自身が処理するプロセスを邪魔しないことだといいます。
「『うるせえ!』を言いたい相手を探している場合も、子どもにはよくあります。他人にぶつけることはできませんから。でも、それを知っていたら『ああ、いまこういう感情なんだな』と受け止めてあげることもできますよね。親は子どもが感情を吐き出せる安全な場所であれば良いのです」
チームの指導者や仲間には出せない本音を、家庭でだけは出せる。そんな環境があること自体が、子どものメンタルを支える大きな基盤に。何か特別な言葉を掛けることよりも、ただ隣にいて、感情を丸ごと受け止める覚悟を持つことが、子どもを支えることにつながると柴田さんは解説します。
また、試合前の「頑張って!」という言葉も、特別な時だけ急に力を込めて伝えると逆効果になる場合も考えられます。そうならないように、毎朝の挨拶と同じように“ルーティン化”してしまうのも一つの方法。特別な感情の「山」を作らず、常にフラットな状態で送り出すことで、子どもも過度なプレッシャーを感じず、いつも通りのプレーに集中できるようになります。
最後に柴田さんは、「最終的にグラウンドでプレーするのは子ども自身です。失敗も成功も、すべては子どもが成長するために必要な経験であり、親はその果実を奪わないでくださいね」と優しく諭します。親自身の不安をコントロールし、子どもを信じて待つ「見守る」姿勢こそが、結果として最も効果的なメンタルケアになるのです。さあ、さっそく今日から主語を子どもに替え、親は一歩引いた視点で「見守る」練習を始めてみませんか?
◇ポッドキャスト番組「野球ママへの応援歌」は各種音声リスニングサービスでお聞きいただけます。
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(First-Pitch編集部)
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