試合中の「照れ笑い」がチームに与える悪影響 全国制覇に導いた“メンタル強化術”

全日本選抜中学硬式野球大会で優勝した関メディベースボール学院【写真:チーム提供】
全日本選抜中学硬式野球大会で優勝した関メディベースボール学院【写真:チーム提供】

関メディ・井戸総監督と臼井メンタルコーチが語る「心と技術」の繋がり

 大舞台で力を発揮できずに悩む選手や指導者は多い。プレッシャーに打ち勝つには――。3月末に沖縄で行われた「2026エスプランナーカップ 第10回全日本選抜中学硬式野球大会」で2年ぶり2度目の優勝を飾った関メディベースボール学院は、初めてメンタルコーチをベンチ入りさせた。井戸伸年総監督は「ジュニア層にもメンタルの大切さを感じてほしい。それを証明できた大会だった」と振り返る。

 試合中に選手たちをサポートしたのは、五輪金メダリストや花巻東高時代の大谷翔平(ドジャース)らを指導した実績を持つメンタルコーチの臼井博文氏だ。6年前からチームを指導しているが、ベンチ入りするのは今回が初の試みだった。

 臼井氏をベンチに入れた理由を、井戸総監督は「勝利もそうですが、考え方が変われば結果も変わることを肌で感じてほしかった」と説明する。専門家から試合前や試合中のルーティンなどを学び、積み重ねてきた力をより100%に近い形で発揮させるのが狙いだった。

 試合中の円陣は臼井氏に任せ、選手たちは様々な試合展開に対応できる心構えを学んだ。1人が変わるとチーム全体に繋がっていく。「積み重ねてきたことがいいかげんならミスも出る。でも、そうではなくミスを伸びしろと感じることが大事。そうなると、落ち込んでる場合はない」と井戸総監督。心の繋がりが技術的な繋がりを生み、優勝に繋がった。

メンタルコーチとしてベンチ入りした臼井博文氏【写真:チーム提供】
メンタルコーチとしてベンチ入りした臼井博文氏【写真:チーム提供】

照れ笑いは「不安や緊張を隠すための自己防衛的な反応」

 メンタル面で重視したのが“笑顔のあり方”。緊迫した展開でも「楽しく笑顔」でプレーすることで本来の力が発揮できるとされている。しかし、井戸総監督はミスした際の「照れ笑い」を絶対にやめるよう選手に伝えていた。「ミスしてもスカしたように照れ笑いする選手は次に繋がらない」。笑顔でプレーするのと、照れ笑いは全く別物だ。

 臼井氏によると、「照れ笑い」は不安や緊張を隠すための自己防衛的な反応。「心理的なストレスから自分を守るための無意識的なものであり、楽しいという感情にはならず周りにも良い影響を与えない」と指摘する。

 目指すべきは、ストレスがかかるほど楽しくなり「笑顔」になることだ。そのためには、苦しい場面やプレッシャーがかかった場面をあえて想定する。逆境を楽しみ感謝しながら、笑顔で乗り越えるところをイメージする。照れ笑いではない“真の笑顔”が競技力を向上させる。

 なぜなら、真の笑顔によって、闘争心や平常心、集中力を高めるホルモンが脳から全身に分泌されるからだ。ミスをごまかすような照れ笑いを排除し、ピンチを楽しむ思考が重要になる。全国舞台で実力を発揮できたのは、普段から行うメンタルトレーニングの賜物だろう。「この思考を成功例としてジュニア層にも伝えていく」と井戸総監督。今後も多くの子どもたちの成長に繋げていくつもりだ。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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