元ロッテ同僚と「まさかプラハで合流するとは」 懐かしいZOZOマリンの応援も…楽しむ「新たなファンとの交流」|荻野貴司のチェコ通信〜Hra!〜#3

チェコと日本の国旗をあしらったシルエットTシャツでビールを堪能する【写真:本人提供】チェコと日本の国旗をあしらったシルエットTシャツでビールを堪能する【写真:本人提供】

荻野貴司が届ける連載・第3回…打率4割超も「正直、調子は良くありません」

 今季からチェコのエクストラリーガでプレーする荻野貴司外野手がお届けする連載「荻野貴司のチェコ通信〜Hra!(フラ!)〜」。所属するドラツィ・ブルノは昨季までリーグ4連覇中の強さを発揮し、5月14日現在、13試合を戦い11勝2敗と快進撃を続ける。

 荻野は12試合に出場し、37打数16安打7打点で打率.432という素晴らしい成績を残しているが、「正直、全然調子は良くないんです……」。その真意とは……。また、1年前は想像すらできなかった元チームメートとの再会など、第3回も野球の話、グラウンド内外でのエピソード、チェコならではの貴重な体験を盛りだくさんでお届けする。

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 日本の皆さん、こんにちは! 開幕から1か月あまりが経ち、リーグ5連覇を狙う僕たちドラツィ・ブルノは13試合を終えて11勝2敗の成績で、早くも首位に立ちました。ここまで9連勝で、6試合は2桁得点を記録するなど、チームは絶好調です。

 ドラツィ・ブルノはこれまで26回の優勝を誇る強豪チーム。ここまでの戦いぶりを見てみると、他チームと圧倒的に違うのは投手陣の安定感、そして守備力の高さにあると思います。勝てないチームは四球やエラーから始まる失点が重なってしまう。これは万国共通と言えるかもしれません。チェコに来て、改めて基礎の大切さを感じています。

 僕はここまで打率.432という成績ですが、正直、調子は良くありません。相手の守備の隙間に飛んだ打球が、たまたまヒットになっているだけ。自分の感覚としてはまったく足が動いていなくて、体にキレを感じられず、スピードを出し切れない状況が続いています。もともと僕のバッティングスタイルは体のキレで成り立っている部分がある。どうしたらキレが生まれるのか。新たな環境での試行錯誤は続きます。

 遠征時の移動はなかなかハードです。基本的に遠征は日帰りで、ナイター翌日の遠征が何より辛い。試合を終えて家に到着するのが夜11時頃で、翌朝7時半にはもう出発。時には片道3時間、チームのマイクロバスに乗って敵地へ移動するのですが、到着したらすぐ試合、ということも多々あります。

 やはり体のケアは大切なので、現地の理学療法士に診ていただく機会も増えました。どうやってコミュニケーションを図るか、気になりますよね? こんな時、大活躍するのがスマホの翻訳アプリ! チェコ語ではなく英語でやりとりをするのですが、伝わると本当にうれしくて(笑)。「半月板(meniscus)」なんて英語、日本にいたら絶対に調べないので、少し物知りになった気分がします。

「ジャパンデー」では息子が始球式に臨んだ【写真:本人提供】「ジャパンデー」では息子が始球式に臨んだ【写真:本人提供】

1−1の同点で告げられた交代「なんだ、何かあったのか……?」

 4月30日の本拠地開催だったサバット・プラハ戦では「ジャパンデー」が開催されました。サバット・プラハには中村耀大選手と丹波夏希選手、2人の日本人選手がプレーしています。試合前には息子に始球式を行う機会をいただいたり、ブルノ在住の日本人バイオリニストの後藤博亮さんとチェリストの三河慶史郎さんがロッテ時代の僕の応援歌を演奏してくれたり。また、日本人の方々も数多く応援に来てくれました。

 この日は「2番・左翼」で先発出場。いつも通り、試合終了までプレーするのかと思いきや、5回で交替を告げられました。試合は1-1の同点という状況。「なんだ、何かあったのか……?」不安な気持ちでベンチにいると、7回に客席へ誘導され、なんとサイン会がスタートしたのです。結局、試合は5-1で勝利しましたが、もし負けていたら? 勝敗は度外視のファンサービスに、思わず笑ってしまいました。日本ではまず、ありませんよね(笑)。

 チェコに来てからは、日本とはひと味違ったファンとの交流が始まりました。何と言っても、選手とファンの距離が近い。球場が小さいので物理的にグラウンドと客席が近く、ファンの方々とは普通に会話しています。話を聞いてみると、はるばる日本から来てくれるファンもいれば、ヨーロッパに住んでいるので見に来ました、と言ってくれる方もいる。先日はデーゲームが終わった後、見に来てくださったファンの方々と一緒にビールを飲みました。

 ご存知の通り、僕が長らくプレーしたロッテは熱いファンの応援で知られるチームです。ライト席を埋める応援団の声援は、いつも大きな力で後押ししてくれました。球場を包む迫力の大応援が懐かしくなることもありますが、チェコで経験する新たなファンとの交流もまた、僕に力を与えてくれます。選手生活を通じて、多くの方からいろいろな形で応援してもらえることに感謝の気持ちしかありません。

プラハで(左から)石川歩、宇草孔基と合流【写真:本人提供】プラハで(左から)石川歩、宇草孔基と合流【写真:本人提供】

元チームメート・石川歩とプラハで再会「素直に嬉しかった」

 5月4日には、念願の“再会”を果たすことができました。昨季まで一緒にロッテでプレーしていた石川歩がプラハまで来るというので、電車に揺られること2時間半、会いに行ってきましたよ! 今季はオランダでプレーする石川こそ、僕がヨーロッパで野球をやってみようと思ったきっかけをくれた人物。皆さんも気付いているとは思いますが、面白いヤツなんです(笑)。

 石川はこの日、元広島の宇草孔基くんの試合を見るため、オランダからプラハまで寝台列車に乗ってやってきました。僕も負けじとブルノから新幹線のような電車に乗ったのですが……僕が買ったはずの席に別の人が座っていたのです。僕が間違えたのか、座っている人が間違えたのか。恥ずかしくて聞けなかったので、真相は闇の中です。

 ちなみに、電車の切符は僕が買ったわけではありません。買い方が分からず、妻に買ってもらったのです。妻も息子もよく一緒にチェコまでついてきてくれました。プラハへ向かう車窓から、一面に広がる黄色い菜の花畑を眺めつつ、家族の支えに感謝しました。

 石川と宇草くんとプラハで合流し、一緒にランチを食べました。プラハはブルノよりも圧倒的に大きな観光都市で、中世の豪華な建物がズラリ。オシャレな印象でしたし、日本から来た観光客も多かったですね。お互いどんな生活をしているのか、どんな野球をしているのか、そんな話をしていたらアッという間に時は経ち、石川は飛行機に乗ってオランダへ帰っていきました。

 それにしても、去年の今頃は同じロッテのユニホームを着て千葉で野球をしていた2人が、その1年後、まさかヨーロッパで野球をし、プラハで合流するとは。こうして石川と会えたことが、素直に嬉しかったです。

 今年から始まる欧州チャンピオンズリーグには、オランダ代表として石川の所属するオーステルハウト・ツインズ、チェコ代表としてドラツィ・ブルノが参戦します。この2チームは同組で、5月22日から3日間、ドイツ・レーゲンスブルクで開催されるグループリーグで対戦するのです。さらに、元東京ガスの笹川晃平選手が所属するドイツのレーゲンスブルク・レギオネーレも同組なので、とても楽しみです。

 注目の石川との直接対決はあるのか。また、次回のレポートで!

荻野貴司のチェコ通信〜Hra!〜

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