キャッチボールは“15球”で十分? 重要な軌道と出力…腕の振りが変わる「重い球」

硬式球より重いスナップボールを使って投球…変化生まれる“腕の振り”
遠投やキャッチボールで、腕を振りやすくする練習法がある。ドミニカ共和国など海外でのプレー経験が豊富な谷口容基さんは現在、関西を拠点にオンライン野球教室「DREAM SCHOOL」などで小中高生から大学、独立リーグの選手まで幅広く指導している。異国で学んだ練習法を参考に、日本人向けにアレンジした指導で選手のパフォーマンスを向上させている。
ドミニカ共和国のアカデミーでの遠投は、全員が右翼の守備位置に就いて行っていたという。コーチが投げた小フライを助走をつけて捕球し、三塁に全力で送球する。その際、最初に使用するのが硬式球よりサイズが大きいソフトボール。5〜10球投げた後、硬式球で同じ練習を繰り返す。
今度は本塁へソフトボールで5〜10球、次に硬式球でも投げる。これを2セット行う。「大きなソフトボールから小さい硬式球になると、腕が振りやすくなる。低く強い球が投げられるようになります」。強い送球ができるようになる効果的な練習だが、大柄な選手が多い中南米に比べて小柄な日本の選手は手も小さく、ソフトボールが握りづらい場合がある。
特に日本の小中学生は、ソフトボールをわしづかみにするのすら難しい場合がある。そこで谷口さんは、日本人向けに硬式球より重いスナップボールを使った練習を野球教室で実施している。重い球を投げるということは、肩や肘に負担がかかる危険性がある。腕の力だけで投げないように注意しながら、数も多くならないように5〜10球を2セット行うという。
「スナップボールを投げた後に普通のボールを投げると、球が軽く感じます。そうすると腕をしっかり振れるようになる。肩がそんなに強くない子どももボールが力強くなります」

キャッチボールで徹底したい「強くて低い球」
大事なことは、腕をしっかり振って投げること。谷口さんは、日米球界で活躍したイチロー氏が智弁和歌山高を指導した時のことが、強く印象に残っているという。「イチローさんは高校生相手に強くて低い球を投げていました。実戦に近い球を投げていないと肩も強くならない。実戦でも加減してしまうと言っていました」。
ドミニカ共和国でも、キャッチボールは子どもの頃から低くて強い球を投げるという。試合で山なりの送球をする選手はいない。キャッチボールで山なりの球を投げても意味がないのである。漠然と投げるのではなく、強くて速い球を全力で投げる。当然、負担が大きく、すぐに疲れてしまう。
「体に負担がかからないように注意すべきです。投げすぎないように10〜15球にすればいい。そうすれば全部100%でいけます。それを日々、続けていれば150%、200%という感覚で伸びていく。キャッチボールも球数が増えると、全てを100%で投げるのは難しくなるので、どうしても40〜50%の力になる。走るのと同じで、いくら長くゆっくり走っても足は速くならない。ダッシュすることで速くなりますからね」
遠投やキャッチボールは、負担がかからないように数自体は少なくていい。代わりに適度な負荷が成長を促す。大きさや重さのある球を利用し、腕を強く振る感覚を養う。通常のボールを使用する時は100%の力を出し、低い軌道で強く投げることがポイントとなる。
(尾辻剛 / Go Otsuji)
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