引退表明の新井へ広島ナインが送った言葉…「最後は日本一で送り出したい」
選手会長の會澤は「寂しい、の一言」
広島の新井貴浩内野手が5日の試合前に会見を行い、今季限りでの現役引退を表明した。FA移籍した阪神から2015年に復帰を果たし、リーグ2連覇に貢献したスラッガーに、同僚選手から惜別のコメントが寄せられた。
「昨日(4日)の試合後に、新井さんの口からスタッフを含めた選手全員に話があった」と、引退発表の経緯を明かした選手会長の會澤翼は「何か困ったことがあれば相談したし、いいアドバイスをもらった。頼れる兄貴という感じ。寂しい、の一言」と、思い出をかみしめるように話した。
4日の試合でサヨナラ打を放ち、祝福の輪の中で真っ先に新井の胸に飛び込んだ菊池涼介は「導かれるように飛び込んでいった。何かのお告げだったのかな」と笑ったが、「自分の中で(引退は)薄々と感じていたので、びっくりしたというよりは、そうか、という感じだった」と冷静だった。
「自分が4番を打つようになった時、食事に連れていってもらって、いろいろなことを教えてもらった」と話した鈴木誠也は、「常に一番はチームのことを掲げて、自分を犠牲にできる。自分もいつかはああいう選手になりたい」と、理想の4番像を継承する意気込みだ。
チームでの数少ない阪神移籍前からの同僚である石原慶幸は、「若い頃から新井さんの背中を見てプレーしてきた。常に全力、言葉でも、存在としても、プレーでも、背中で引っ張ってくれた」と思い出を語ったが、引退については「まだ実感がわかない」と神妙な面持ちだった。
プロ20年目の区切りの年に引退発表した新井に対して、残される選手が一様に送ったのが「最後は日本一で、新井さんを送り出したい」という言葉。過去2年間、達成できなかった34年ぶりの悲願へ向け、引退するレジェンドの存在がチームを加速させる。
(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)