小柄な子に「バントをうまくなれは違う」 飛距離アップの“秘策”…中学生に伝える打撃論

東京神宮シニアでコーチを務める新田玄気氏(右)【写真:本人提供】
東京神宮シニアでコーチを務める新田玄気氏(右)【写真:本人提供】

中学生を指導…元ヤクルトの新田玄気氏が重視する「ロングティー」

 打撃で飛距離を伸ばすには、ロングティーで体を目いっぱい使ってスイングするのも1つの方法である。元ヤクルト捕手の新田玄気氏は現在、損害保険や生命保険の代理店業務などを行う「ミヤシタ」に勤務する傍ら、中学硬式野球の指導も行っている。現役時代に強打の捕手として鳴らした新田氏は、選手が遠くへ飛ばせるようになる練習に力を入れている。

「野球はもちろん技術も大事ですけど、考え方1つで大きく変わります。中学生はまだ体が小さい子もいますけど、『バントをうまくなりなさい』という指導は違うと思います。『ホームランを打ちたいよね?』と聞けば、みんな『打ちたいです』と答えます。それじゃあ、飛ばす練習をするしかない。僕はロングティーばっかりやらせています」

 止まった球を打つロングティーは、投手の球を打つ場合と違って反発力を利用できないだけに、意識して強く叩かないと遠くに飛ばない。より力強いスイングが求められる。そのためには体全体を使う必要がある。成長期でまだ体が小さな子どもなら、なおさらである。

「飛ばそうとするから、放っておいてもしっかり振ります。打ち方ももちろん大事ですけど、まずはしっかり振ることが必要です」。自然と強く速いスイングが身についていくという。

 モチベーションのアップにもつながる。「きょうはあそこまで飛んだ、先週より飛んだと目に見えてわかるので、目標が設定しやすい。いつも『遠くに飛ばせ』と言っています」。50メートルだった飛距離が55メートル、60メートルと伸びてフェンスオーバーに近づいていく。目で確認できるため、成長を実感できるのだ。

スイングの方法は「基本的には何も言いません」

 伸び伸びと打たせるため、細かい技術指導は二の次。バットの出し方などスイングの方法は「あまりにもダメな場合は指摘しますけど、基本的には何も言いません。選手に任せています」という。そんな中で、タイミングの取り方は助言するようにしている。

「構え遅れないようにとか、早く動かないと速い球には絶対に間に合わないとか、軸足に体重が乗っている時間は少しでも長くしていた方がいいよとは言っています。でも、技術的な部分で伝えるのはそれぐらいです」

 平日の水曜日と木曜日は業務後に千葉県内で野球スクールを開催。仕事が休みの土日や祝日は「東京神宮リトルシニア」でヘッドコーチを務めている。「このご時世なので言い方には凄く気をつけています」。自身が幼少期に受けた“スパルタ式”ではなく、言葉をかみ砕いた丁寧な指導を心がける。

 打撃で快音を響かせた瞬間は気持ちがいいもの。本塁打を打てれば快感だろう。そのためには強いスイングが不可欠。ロングティーで磨いていくのも、1つの手段になるのだ。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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