中学生の“速い球を投げたい”は危険 見逃せぬリスク…焦りはNG「スピードは出るもの」

「守谷リトルシニア」で指導する元楽天・井坂亮平氏【写真:尾辻剛】
「守谷リトルシニア」で指導する元楽天・井坂亮平氏【写真:尾辻剛】

元楽天・井坂亮平氏が説く…中学生の投手が捨てるべき“考え方”

 中学生は速い球を投げたい気持ちを捨てた方がいい。正しい投げ方をしていれば体ができ上がってくるに従い、自然と球速は上がってくるものである。元楽天投手で茨城県守谷市役所に勤務する井坂亮平氏は、仕事の傍ら中学硬式野球「守谷リトルシニア」で指導している。キャッチボールや投球練習の際に必ず伝えていることがある。

「僕は『遠くに投げたい』とか『速い球を投げたい』という気持ちは捨てろということを言っています」

 遠くに投げよう、速い球を投げようとすると、どうしても力が入ってしまう。腕の力だけで投げたり、フォームが崩れたりすることにつながる。成長期の子どもたちにとっては、怪我の危険性が高まるのである。

 それだけではない。はやる気持ちを抑えさせるのは、自身の経験に基づく確かな感覚があるからだ。「いずれ体ができてきて正しい投げ方をすれば、スピードは出るものです。僕がそうだった。背は高かったけど決してごついわけじゃない。華奢だったけどスピードが出るようになったのは、投げ方が理にかなっていたからだと思っています」。

 身長186センチの長身右腕だった井坂氏は、プロ入り前は体重70キロ台と線が細かった。それでも高校で体ができ上がってくると球速は140キロ台になり、大学を経て社会人では150キロを計測。プロ入り後は意識的に89キロまで体重を増やし、最速は153キロまで伸びた。

守谷リトルシニアの練習の様子【写真:本人提供】
守谷リトルシニアの練習の様子【写真:本人提供】

中学生に焦りは禁物「我慢することも覚えてほしい」

「正しい投げ方をしていれば、体の成長とともに必然的に長い距離を投げられるし、スピードも出るようになります。コントロールも良くなる。それを飛び越して速い球を投げようとか、遠くに投げようとすると、体の使い方がおかしくなります」

 球速や遠投距離は目に見えて成長が実感できるだけに、子どもたちの気持ちも分からないわけではない。「目立ちたいとか、スピードを出したい気持ちが出るのはもちろん理解します」。だが、真の成長のためには焦りは禁物だ。

「そこは少し我慢してほしい。明日、プロ野球選手になれるわけじゃない。5年後10年後を見た先に、プロ野球選手になれる可能性がある。そこまで我慢するんです。今はそこじゃない。せっかく時間を使って練習しているんだから、我慢することも覚えてほしい」

 体つきや柔軟性などで、それぞれに無理のない投げ方がある。まずは自分に合った、理にかなったフォームを見つけ、繰り返し練習して習得すること。それが将来的な成長につながっていくのである。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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