少年野球の“保護者との距離感”に悩み 現場には混乱も…チーム運営を円滑にする解決策

「学ぶ指導者」プロジェクト…求められる新時代の組織運営
野球人口の減少に伴い、一人の選手に注がれる周囲の熱量はかつてないほど高まっています。保護者の関わり方が変化し、SNSが不可欠なインフラとなった今、現場の指導者は技術指導以上に“運営の難しさ”に直面しています。全日本野球協会(BFJ)の前事務局長である長久保由治さんを案内役に、一人の保護者として現場を見つめるパパコーチのYさんとの会話から、指導者に求められる組織運営のポイントを探ります。
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「最近は本当に選手の数が少なくなった」。少子化や“野球離れ”に伴い、少年野球界ではそのような声が多く聞かれるようになりました。
かつてどのチームも人数が多かった時代は、選手と指導者だけの閉鎖的な世界でも成り立っていました。今は人数が少ない分、一人の子どもに対して保護者や家族の注ぐ熱量が、以前よりもずっと濃くなっているように感じます。
現場を預かるパパコーチのYさんにとっても、保護者との距離感は切実な悩みの種のようです。「保護者が運営に深く関わってくると、かえって現場が混乱します。いわゆる『ボスママ・ボスパパ』のような存在が現れて、チームが壊れてしまうこともある。そこが怖いんです」。そう不安を吐露します。
そんなYさんに、私は「今は野球だけを教えていればいい時代じゃない。まさに『チームマネジメント』が問われています」と伝え、ひとつの解決策を示しました。「チームに選手、保護者を迎え入れる際に、『うちはこういう方針で、こういう目的で運営しています』という指針を丁寧に伝えることです」。運営の透明性を初めから確保することで、入団後の“こんなはずでは”を、チーム側も保護者・選手側も防ぐことができます。
「リフレッシュ研修」で最新の情報に触れる重要性
指導者が気を配らなければならない事柄は、広がりを見せています。例えば、現代ならではの課題であるSNS。「LINEのグループやInstagram、TikTok……。便利ですけど、一歩間違えると怖いですよね」とYさん。選手募集や保護者とのやりとりなど利便性は高いですが、諸刃の剣でもあります。
誹謗中傷をしたつもりがなくても、いつの間にか炎上の火種になってしまう。これは、過去の経験則だけで防げるものではありません。SNSリテラシーをアップデートし続ける必要性があります。
そのために、指導者資格の更新時に義務付けられている「リフレッシュ研修」などで、常に「生きた情報」に触れておくことが大切です。SNSの失敗事例や他チームで実践するルールを学ぶことは、子どもたちの環境と指導者自身の居場所を守ることに直結します。
「時代に即して変わる勇気を持つこと。それが今、一番の指導力かもしれませんね」と私はYさんに伝えました。技術指導の枠を超えた現代のリーダー像。それを目指す学びの継続こそが、安定したチーム運営の礎になるはずです。
〇長久保由治(ながくぼ・ゆうじ)1960年2月9日生まれ。大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。『週刊ベースボール』など野球雑誌の編集・書籍企画に25年あまり従事。2009年退社後、全日本軟式野球連盟の事務局長に就任。2018年には全日本野球協会の理事・事務局長に就任し、16年あまりにわたり中央競技団体の事務方トップとして野球の普及振興に尽力。2025年6月、任期満了で退任。現在はCreative2の野球事業アドバイザーを務める。
◎BFJ公認野球指導者資格についての詳細はこちら
https://baseballjapan.org/jpn/coach/official_coaching_license_03.html
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