大谷翔平ら輩出も…岩手の野球環境は「遅れている」 首都圏で痛感した“差”「少なすぎる」

野球指導者・松坂大輔さんが肌で感じた東北と関東の“差”
大谷翔平、佐々木朗希(いずれもドジャース)、菊池雄星(エンゼルス)ら世界で活躍するスター選手を輩出してきた岩手県。今や国内屈指の“野球王国”だが、盛岡市のトレーニングジム「GroWin」で野球指導する松坂大輔さんは「逸材は岩手からもっと生まれる気がしています」と口にする。ただ、それは「環境」が整うことが前提条件。岩手の野球環境が首都圏と比較して「遅れている」のもまた事実だ。
「関東であれば、選手が当たり前に外部の個人レッスンを受けられますし、練習場も気軽に借りられる。チームの監督、コーチに教わることも大事ですが、疑問を解消するために、練習したい時に練習できて聞きたい時に聞けることが大事です。そういう意味では岩手の環境は遅れている。その環境が整って、なおかつ選手を指導できる指導者が増えれば、未来はもっと明るくなると思っています」
盛岡市で野球を始め、一関学院高、青森中央学院大を経て千葉県に拠点を置くクラブチーム「ハナマウイ」でプレーした松坂さん。東北の野球と関東の野球を経験した上で、その差を肌で感じていた。
今年2月からは盛岡市に戻り、野球に特化したジムをオープンした。地元の学童チームなどの指導者からは「岩手は冬にボールを使って練習する場所が少なすぎる」といった声も多く聞かれたという。地元の現状を変えるべく、松坂さんは人工芝のトレーニングエリア、ウエートスペース、ネットを完備したジムを手作りした。今後、敷地を増やしてスクールを運営する構想も描いている。
「もっとうまくなりたいと思う岩手の人たちの手助けを」
「もがいている子に手を差し伸べて、歩み寄るようなことができれば嬉しい。もとからすごい子ではなく、もがいている子がここの施設を使って、成長のきっかけをつかんでプロに行ってくれたらそれは意義のあることですし、一番成し遂げたいことかもしれません」
松坂さんはそうも話す。松坂さん自身、高校以降は度重なる怪我と闘いながらもがき続けた。岩手の小中学生はもちろん、北東北大学野球リーグの加盟校でプレーする大学生にも自身と同じく「もがいている」選手は少なくないという。
松坂さんはハナマウイで「師匠」と崇める中山慎太郎・投手コーチに出会い、動作指導を受けたことで投手として成長するきっかけをつかんだ。そして、それを現在の指導にも生かしている。指導者との出会いを機に野球人生が好転する可能性を知るからこそ、「僕が中山さんにしていただいたように、もっとうまくなりたいと思う岩手の人たちの手助けをしたい」と意気込む。
「僕は元プロでもないですし、ここに来てくれる子たちがどうすれば野球人生で少しでも幸せになれるかを考えると、一生懸命、死ぬ気で教えるしかないんです。日々、いろんなことを勉強して、いろんな人から学び続けます」。岩手、東北に眠る逸材の拠り所となるべく、環境作りに奔走する。
(川浪康太郎 / Kotaro Kawanami)
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