7月以降は勝率.639「勝ち切るために…すごく評価できるところ」
横浜DeNAベイスターズ28年ぶりのリーグ優勝を託された相川亮二監督が、決断の裏側を明かす連載「ヨコハマ・アイ」。7月以降59試合で37勝21敗1分けの勝率.639を誇り、最大15あった借金を完済。シーズン残り13試合へのラストスパートをかけている。連載第4回は松尾汐恩、戸柱恭孝、古市尊の“3人体制”が続く捕手陣、3年目で初のシーズン規定打席に到達した度会隆輝外野手、“スーパーサブ”の存在に焦点を当てる。(数字は全て9月16日現在)
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シーズン最終盤を迎え、内容の詰まった“1勝”が増えてきた。相川監督は「内容という時期でもないし、いい勝ち方とかいい負け方というのはもうないと思っている」と冷静さを貫くが、「勝ち切るためにしっかりアウトを取っている、しっかり点数を取っているというところはチームとしてすごく評価できるところだと思います」と手応えも口にした。
現在、1軍には松尾、戸柱、古市の3捕手が登録されている。9月を見てみると12試合中、松尾が5試合、戸柱が4試合、古市が3試合でスタメンマスクを被った。捕手出身の指揮官は「単純に試合をつくってほしい。QS(クオリティスタート=6回自責点3以下)を投手と一緒に達成してほしい」と求めることは明確だ。
山本祐大捕手が5月にソフトバンクにトレードとなり、大幅に出場数が増えたのが松尾だ。高卒4年目の22歳に「捕手のスキル、その部分は僕自身も認めていますし、キャッチャーとしての資質は十分にあると思っています」と目を細める。
まだ若手ではあるが、「1軍の舞台は選手を成長させる場ではないと僕は思っているので、経験したことをもって彼の能力で勝ちに導いてほしい」と扇の要としての役割を願う。「(足りないものは)経験だけです。スキルも駆け引きの部分もチームを勝たせる部分も、全て経験から繋がる。もっと試合に出て経験値を上げてもらいたいと思っています」と話した。
戸柱の「難しさは僕もわかる」、古市は「出会ったことない捕手のひとり」
豊富な経験を持つ36歳の戸柱には「何も不安なく試合に行ってもらっています。組んだことのない投手と組んでもらうなど準備は難しい面があり、その中でしっかりゲームをつくってくれる。彼の存在があるから、松尾も古市も思い切って起用できます。途中からでも頭からでも、本当に支えてもらっているような形です」と絶大な信頼を寄せる。
相川監督自身も40歳まで現役でプレーし、“ベテラン捕手”としての役割を担ったこともある。「多くない出場機会で、出たときに当たり前にやってくれるだろうという目でチームや、きっとファンの方からも見られていて、求められるものは大きいと思う。その難しさは僕もわかりますが、しっかりしたプレーはやってくれているし、それだけの評価はできると思っています」。プロ11年目の戸柱だからこそできる役割を全うしている。
人的補償で西武から今季加入した古市は、落ち着いたリードで投手陣の信頼も増している。プロではまだ通算63試合の出場にすぎないが「捕手のスキルは1軍トップクラス。打者を洞察する力とか配球やリード、駆け引きの部分がすごく上手だなという印象です」と賛辞を送った。
5月16日に初昇格も、6月5日に降格。しかし7月12日の再昇格後は1軍に同行し続けている。「チームが勝負だとなったときに、不安なく送り込める選手です。立ちふるまいを見てもベテランのような、そこもまた彼のよさなのかな。なかなか僕も出会ったことがない捕手のひとりかもしれないです」と話すように、不思議な魅力をまとう24歳だ。
まさに“三者三様”の捕手陣。「誰が行っても不安がないという、そこが一番の強み。ここからはもう、投手に合わせて、相手投手に合わせて、途中からでも、戦術的にもいろいろなバリエーションが持てるというのは、彼らがその能力を持っていることが非常に大きな力になっていると思います」と自信をのぞかせた。
9月打率.333、規定打席クリアの度会は「悔しさをエネルギーに変えた」
度会が13日の巨人戦でシーズン規定打席に到達した。7月は勝又温史外野手にレギュラーを奪われた形で出場機会を減らしたが、8月は25試合で打率.293と蘇り、9月も12試合で同.333と絶好調だ。
「(7月は)漬け込んだ、漬けて揉んだ1か月だったのかなと思っています」
スタメンを外れていた度会とはほぼ毎日、多くのコミュニケーションを取った。プロ野球という世界は活躍した人がレギュラーを奪っていくこと、ただチャンスがなくなったわけではなく次の機会を狙い努力し続けなければいけないことなどを説いた。それに応えるように、背番号4は結果で示した。
「本当に努力していましたし、練習量も毎日継続して、頑張っている姿も見ています。そういうものがまた8月からの度会の結果になったと思うので、いい“漬け込み期間”だったんじゃないかなと。彼の努力と、悔しさをエネルギーに変えられたというところですね」と称える指揮官の表情は、穏やかだった。
“スーパーサブ”に感謝「チームにいい影響を与えてくれる存在でもある」
競った試合の終盤、必ずと言っていいほど重要な役割を果たす男たちがいる。三森大貴内野手は何度も“足”で勝利を運んだ。「本当にスペシャリスト。僕が表現するなら、ジョーカーの存在」と説明するように、まさに最高の切り札だ。
もちろん代走だけにとどまるわけではないが、三森が控えていることはチームにとって大きい。「彼が(代走で)行って、2死一塁で1点差だとして、スチールでアウトになって試合終了でも、何の後悔もないです。彼が勝負してくれることが全て。どんどん勝負してもらいたいし、それくらいの信頼です」と“勝負勘”に賭ける。
また神里和毅外野手、柴田竜拓内野手の働きも忘れてはならない。神里は開幕から1軍に帯同しながら61試合の出場で打率.105(19打数2安打)、柴田は4月19日に1軍に昇格して45試合で打率.091(11打数1安打)、3犠打ながら、試合終盤での守備、代打での犠打など数字には表れない貢献がある。
「最低限レギュラークラスでやったことのある選手じゃないと、一番緊張感があるところの守備は難しい。それもいつもではなく期間が空いてしまっても当たり前にこなしてくれる選手はチームにも貴重な存在ですし、それができる選手が控えてくれているのはありがたいです。守備がうまいからできるわけではない。練習でも、なかなか打席に立つことは少ないですけど早出から人一倍バットを振る姿はチームにもいい影響を与えてくれる存在でもあるので、本当に助かっています」と頭を下げた。
残り13試合。相川監督は「後悔のない試合をやり続けないといけない。チームが勝つためというのを最優先にして、起用であったり判断をしていくことが重要だと思っているので、それをやり続けるだけです」と力を込める。勢いをさらに加速させ、最後まで1つでも多くの白星を積み重ねていく。
(町田利衣 / Rie Machida)