硬式移行時の“送球の違和感”にどう対応? 名手が伝授…「地球を使う」キャッチボール

「FIGHTERS LEGENDS野球教室」で中3選手に伝えた“硬式球での送球”
軟式から硬式に移行すると、送球の感覚も変わる。9月14日にエスコンフィールドHOKKAIDOで行われた、高校野球を目指す中3軟式選手を対象とした「FIGHTERS LEGENDS野球教室」で、ファイターズOBの金子誠氏と田中賢介氏が、硬式球を投げる時の体の使い方や、キャッチボールを通して身につけたい感覚を選手たちに伝えた。
「硬式のボールを初めて投げたらどんな感じだった? ピューンって、上に行かなかった?」
現役時代にゴールデン・グラブ賞を3度受賞した金子氏は、選手たちにこう問いかけ、ボールそのものの違いについて説明した。「軟式は中が空気、空間だから、意外と小手先の方がうまくいく。硬式には真ん中にコアという固い核があるので、しっかり下半身で押し込めないと、どこに行くか分からない」。
硬式球を初めて投げる時には戸惑うかもしれない。だが、扱えるようになった時の感覚は格別だという。「ばっちりはまった時は、軟式ではありえないぐらい気持ちがいい。自分で投げたボールがヒューンって音を立てる」と硬式野球ならではの魅力を伝えた。
キャッチボールの途中で選手を集めると、「自分のイメージしたボールを投げた時に、どういう感覚が手に残るかを感じて。やってみよう」と呼びかけた。硬式球を投げる機会が少ない選手たちに、ボールを投げた時の感触を意識させた。
同じくゴールデン・グラブ賞5度受賞の田中氏は、硬式球ならではの「縫い目」にも目を向けさせた。相手が投げたボールの縫い目がどのように回っているかを見る。自分が投げたボールについても回転を確認し、きれいに回るボールを意識する。「プロになったら、ピッチャーが投げたボールを縫い目で見て、ストレートなのかツーシームなのか判断する。縫い目を見る癖をつけておいた方がいい」と、将来につながる視点を伝えた。

重い硬式球は下半身が使えないと「差し込まれてしまう」
参加者の動きを見つめる金子氏が繰り返し伝えたのは、下半身を使ってボールを投げる感覚だった。その象徴的な言葉が「地球を使う」だ。この日用意したメニューの1つ「ノック&スロー」では、サード付近からファーストへ送球する通常のノックを行い、自ら手本を示しながら足の運びを直接指導した。
「体重移動というと、投げたい方に踏み出し足(右投げなら左足)をステップしなさいという話になる。でも、体勢はいろいろあるから、軸足(右足)も大事」と説明。硬式では、ボールが弾まないため低い打球が多く、重心が低い姿勢で捕球する場面も多い。「そこで左足を踏み出そうとすると、体が1回起き上がってしまう。だけど、投げたい方向に右足で押すと考えたら、もう少し地面を使える送球になる」と、スムーズな体重移動のコツを伝えた。
「カットプレー」では、3人1組で一直線に並んでキャッチボールを行った。金子氏が鋭い視線を送ったのは、カットマンに相当する真ん中の選手の動きだった。「その場で処理しない。移動して、もらう」と言葉を添えながら、実際にやってみせた。

ボールを受ける時も、投げる時も足を動かす。重い硬式球を受けて反対方向へ投げ返すには、下半身を使えないと「差し込まれてしまう」。差し込まれると、大人でもボールの持ち替えが不安定になるという。「そこは軟式と硬式の違い。そういうものを扱っているということを分かってもらえたら」と、硬式球の特性を体で感じてもらった。
実際にプレーした選手たちの動きは、金子氏の目にどう映ったのだろうか。「最初のキャッチボールはちょっとおぼつかなかったけど、ボールを処理して体を使ってボールを投げることを繰り返すうちに、ボールの回転もよくなっていった。ボールに指がかかった感触は気持ちいいはず。そういう体験を提供できて良かった」と汗をぬぐった。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)
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