「文句なしの1位指名」スカウト絶賛の“怪物”2年生 攻守で止まらぬ進化「末恐ろしい」

今秋ドラ1候補の慶大・渡辺和大から左翼席へ逆方向弾
“怪物”ぶりに拍車がかかった。まだ2年生の法大・井上和輝捕手が、左打ちの強打の捕手として桁違いの実力を披露。3日に神宮球場で行われた東京六大学秋季リーグ・慶大1回戦で、通算8本目の本塁打となるソロアーチを“逆方向”の左翼席へ放り込んだ。NPB球団のスカウトが「仮に今年、ドラフトの対象だったら、文句なしの1位指名。末恐ろしい」と口を揃えるほどの打棒を振るい、今季は捕手として守備面の成長も見せている。
184センチ、93キロの体に詰め込まれたパワーを遺憾なく発揮した。両チーム無得点で迎えた4回、一死走者なしで打席に立った井上和はカウント0-1から、“ガチ”の今秋ドラフト1位候補である慶大先発の左腕・渡辺和大投手(4年)の110キロのカーブを、豪快に振り抜いた。打球は左翼フェンスを越え、今季1号の先制ソロとなった。
「そんなに感触はよくなかったです。風に乗ってくれと祈りながら走りました」と照れ笑いを浮かべたが、通算8本塁打中、5本が左方向(左翼3本、左中間2本)。左翼から右翼まで、どの方向へもスタンドインできるのが特長だ。
1年生だった昨春に早くもリーグ戦デビューを飾り、秋には常時スタメンの座を奪取。これまでに通算打率.341(129打数44安打)、8本塁打31打点の猛打を振るい続けている(成績は全て3日時点)。
さらに捕手としても、4回と5回に一塁走者の二盗を阻止。1-1の同点で迎えた7回には、先頭で二塁打を放った慶大・一宮知樹外野手(2年)を、次打者への初球を捕った後、矢のような二塁牽制球で刺すシーンがあった。「今季一番良くなったのは、スローイング」との声がNPB球団スカウトの間で上がっている。

「ジャパンの捕手は全員、肩が強かった」何物にも代えがたい経験
“元プロ”の法大・大島公一監督も、井上和に対し、捕手としての評価を上げている。今春のリーグ戦では、12試合中10試合で指名打者としてスタメン起用していた(そのうち試合途中から捕手に回ったケースが2試合。捕手としてフル出場したのが2試合)が、今季は全ての試合でスタメンマスクを託しているのが、期待の表れだ。
捕手としての成長のきっかけは、2年生ながら侍ジャパン大学代表に選出され、7月に台湾で行われた「ワールド カレッジ ベースボール チャンピオンシップ」に出場したことにあった。
大会での4試合には専ら指名打者で出場し、通算6打数1安打(打率.167)。それでも、いずれも今秋ドラフト候補に挙がる青学大・渡部海捕手(4年)、立命大・西野啓也捕手(4年)、亜大・前嶋藍捕手(4年)のプレーを目の当たりにし、練習を共にした経験は何物にも代えがたい。
「ジャパンのキャッチャーの方々は、全員、肩が強かったです。自分は必死にアドバイスをいただき、元々スローイングに自信がなかったわけではありませんが、より自信を持って投げられるようになりました」。井上和は“ジャパン効果”をこう明かす。「(スローイングでは)タイムよりも正確性を重視しています」と強調した。
キャッチボールの時には西野とコンビを組んだそうで、「西野さんから普段考えていることをうかがい、自分の感覚もよくなりました。下級生でジャパンに選んでいただき、試合で結果を残すことはできませんでしたが、素晴らしい経験をさせていただいたと思っています」と感謝しきりだった。
攻守両面で“怪物化”が止まらない井上和。2年後には、いったいどんな選手になっていることやら……。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)