小学生に難しい“インコース打ち”「私も苦手でした」 井口資仁氏が伝授する克服策

「野球脳キャラバン」で井口資仁氏が小学生に説いた打席の心構え
苦手なコースは、無理に克服しなくていい。野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が主催する少年野球指導イベント「野球脳キャラバン」が10月10日、千葉県柏市内のグラウンドで行われ、野球日本代表監督の井口資仁氏が講師として参加。質疑応答の際、「インコースが苦手」という小学生から内角球のさばき方について質問を受けると、自身の現役時代の取り組みも交えて、必要な心構えを説明した。
「苦手でも全然いいと思う。インコースは一番体に近いところだから、芯で打つのが一番難しい。私もインコースはすごく苦手でした。打てるストライクゾーンのポイントは、人それぞれ違います。あまりインコースをきれいに打とうとは考えずに、まずしっかり振るようにしましょう」
体の近くにくる内角球を捉えるには、バットの軌道を最短距離で出す必要がある。両腕の使い方、体の回転など高い技術も求められる。球が速ければ速いほど対応が難しくなり、差し込まれる可能性も高くなる。少しでも制球が乱れると死球になることもあり、その恐怖心とも戦わなければならない。
プロでも対応に苦慮する選手も多く「それで失敗したプロ野球選手はいっぱいいます」という。まだ成長期で体ができていない小学生なら、なおさら難しいだろう。「インコースをきれいに打とうとすると、体の開きが早くなる。ファウルになったり、今まで得意だった外の球にバットが届かなくなったりします」。そう説明し、対応方法に言及した。
「ストライクゾーンのインコースに合わせにいくと、フェアゾーンの平凡なフライになってしまう。だから、合わせるのではなく、しっかり振ること。しっかり振れば、当たれば前に飛ぶし、結果的に詰まった打球でも内野の頭を越えてヒットになることもあります。ミスショットしても、後ろへのファウルになる」

積極的な姿勢は重要「初球を凡打したって悪いことじゃない」
タイミングを合わせようとしたり、きれいに打ち返そうと意識したりするのが悪いわけではないが、思い通りに体を動かせず、中途半端なスイングになるケースも多い。それならフルスイングした方がいいというのが井口氏の考え方で、「もう思いっ切り振ること。ファウルでいいぐらいの気持ちで振っていくんです」と力を込めた。
「その代わり、自分が好きなポイント、アウトコースが好きなら、そこを中心にしっかりと打っていくってことが大事です」。相手投手が全打席、全球を内角に投げてくるわけではない。どこかで外角や、甘く真ん中付近にくることもある。好きなコースのミスショットを減らし、長所を伸ばしていくという発想の転換もポイントとなる。
井口氏は、ファーストストライクへの対応にも言及した。「大事な場面でファーストストライクを打って凡打したらどうしようと頭によぎることがある」という小学生に対し、「まず、凡打したらどうしようって考えはやめたほうがいい」と諭すように語りかけた。
「ファーストストライクから振れることは非常に大事です。初球を凡打したって全然悪いことじゃない。(1打席で)ストライクは3球しかない。2球見逃して1球空振りしたらもう三振になる。やっぱり3球振った中で、その中の1球をしっかり仕留めることが大事なんです」
ここでもマイナス思考ではなく、少しでもプラス思考で臨むべきだと強調する。もちろん、何でもかんでも振ればいいというわけではない。「バッティングで一番大事なのはタイミングです」。素振りや打撃練習で素晴らしいスイングができても、実戦で発揮できなければ意味がない。

「投手はいろんなコースに投げたり、変化球を投げて打者のタイミングを外そうとしてくる。だからベンチにいるときや、ネクストバッターズサークルにいるときから、どんな球を投げているのか、どの球種でストライクを取れているのかを見て、タイミングを合わせる。そうやって崩されずに自分のスイングができるかどうかの勝負になってきます」
打席に入る前から勝負は始まっている。事前の準備が重要なのだ。「野球脳」を鍛えるイベントで、日米通算2254安打の大打者が示した極意。考え方次第で、結果が大きく変わってくるのである。
(尾辻剛 / Go Otsuji)
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