「監督は親友」―春日部共栄が15年ぶり秋制覇、栄冠を呼んだ名将の“英断”

15年ぶりの優勝を果たした春日部共栄、本多利治監督(中央)の指導方針転換が結実した【写真:河野正】
15年ぶりの優勝を果たした春日部共栄、本多利治監督(中央)の指導方針転換が結実した【写真:河野正】

「強い共栄を取り戻そう」を合言葉に波乱の大会でBシードから埼玉制覇

 秋季埼玉県高校野球大会は8日、県営大宮球場で決勝が行われ、春日部共栄が東農大三を4-1で下し、15年ぶり6度目の優勝を果たした。初優勝した30年前の決勝も東農大三との顔合わせだった。

 花咲徳栄が3回戦で、浦和学院が初戦の3回戦で敗退。ともに今夏の甲子園に出場した2強が早々に姿を消したことで、今秋の埼玉大会はさらなる波乱も予想されたが、Bシード春日部共栄だけは、実力通りに結果を出した。

 就任39年目の本多利治監督(62)は「シードの意地を絶対に見せてやろうと、自分に誓っていた」と何十年経過しても変わらぬ鋭い眼光で言い放ち、「前回の優勝から15年もかかったんだなあ」と今度は真っ黒な顔をほころばせた。

 初戦の2回戦から準決勝までの4試合を1度の救援もなく投げ抜いた2年生のエース右腕村田賢一が、予想に反して先発。準々決勝と準決勝が公式戦初の連投となり、この2試合で計296球も放っていたが、「準決勝の前より体が楽で、投げさせてほしいと志願してきた」と指揮官は最終決戦もエースに託した。

 初回に1死二塁から右前打と右翼手の失策でいきなり先行されたが、2回以降は4安打無失点に封じて成長ぶりを誇示。打線もこの粘投に応え、4回無死満塁から併殺崩れの間に追い付くと、6番・平岡大典(2年)がしぶとく一、二塁間を抜いて逆転。本多監督は「準決勝と決勝はバットが振れていなかった」とチームに苦言を呈したが、7回には2安打と暴投で、8回にも1死二、三塁から平岡の左犠飛で1点ずつ奪う手堅い攻めも演じた。

2打点の平岡「監督は選手思いの素晴らしい人であり、一番の親友です」

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