【中村紀洋の目】 子供たちに多い「作られた左打者」 右打者になれば覚醒する可能性も

現在は野球の指導なども行っている中村紀洋氏【写真:岩本健吾】
現在は野球の指導なども行っている中村紀洋氏【写真:岩本健吾】

「左打者のままだったら今の僕はない」

 中村紀洋です。今回は野球が大好きな子供たちに読んでいただきたいと強く思います。「N’smethod」で子供たちに野球を教えている際に感じるのが、「作られた左打者」が多いことです。「作られた左打者」というのは元々が右利きで右打者だったのが左打者に変わったことを指します。

 指導者や親御さんに勧められたのかもしれません。もちろん、自分が納得して左打者になったのなら全く問題ありません。右利きで最初は右打者だったのが左になって球界を代表するスーパースターになった選手もいます。実際、僕も野球を始めた時は掛布さんにあこがれて左打ちを真似していました。ただ打球が全然飛ばなかった。

 右打者に変わったきっかけは小学3年の時のソフトボールの試合でした。あまりに左で打てないから、親父に「右で打ってみろ」と言われて。初めての右打席で打ったらレフトオーバーのホームランになりました。たまたまですけど凄くうれしかったですね。あの時以来ずっと右打者。左打者のままだったら今の僕はないと思います。

 今の子供たちも左打者で練習を積み重ねてもしっくりこないケースがあるように感じます。早い時期に右打者で試してみることをお勧めします。左打者は一塁が近いことから優位性が強調されますが、右打者もメリットはあります。今は手元で変化するカットボールやツーシームが全盛の時代です。左打者は右投手の内角に食い込むカットボールを攻略するのがなかなか難しいですが、右打者は対応できます。

 子供たちに素振りをさせると、普段打っている左より右の方が癖がなくきれいなスイングであるケースがあります。もちろんどちらで打つのかは子供自身の意思が重要です。納得できる形で野球に取り組まなければうまくなりません。ただ僕のように早い時期に左から右にして打撃がガラリと変わるケースがあります。子供は無限の可能性を秘めているので、指導者や保護者の方はその子の特性を見極めてあげてほしいですね。(近鉄、ドジャース、オリックス、中日、楽天、DeNA内野手)

文/構成 ココカラネクスト編集部 平尾類

RECOMMEND

CATEGORY