元楽天&ヤクルト岩村明憲氏が社長兼監督に BCリーグ福島が再出発「福島のために」
岩村氏は新設された運営会社社長も務め、球団名は「福島レッドホープス」に
11月21日、ルートインBCリーグの福島ホープスが記者会見を開き、来季から球団運営会社が代わり、新たに「福島レッドホープス」として再出発をすることを発表した。2014年にBCリーグに加入した福島は2015年の後期シーズンを制覇するなど12月決算期で黒字スタート。ホーム球場の入場者数の減少もあって2年連続赤字となってしまった。今季、チームとしては前後期とも2位と健闘していたが、その裏で球団存続の危機に直面していた。
福島県郡山市にある球団事務所で行われた記者会見では岩村明憲監督ほか、2名の弁護士が出席し今後の球団方針が発表された。これまで球団運営を行っていた福島県民球団に代わって11月21日に設立された「株式会社Y.O.A」(本社;福島県郡山市)が運営を行っていくという。この会社は岩村監督自ら社長となり経営者と監督の二足のわらじを履くことになる。運営会社変更にあたり、球団名も「福島レッドホープス」となる。
会見で岩村監督は「ホープ(希望)という言葉が好き。赤くより情熱的なチームにしていきたい」と球団名の由来を目を輝かせて語った。福島のファンはもちろん、多くの人々から支持されるためには経営と同時に試合に勝つことも必要。岩村監督にとって初めての経験となるものの、新たな挑戦に向けて決意を固めていた。
運営会社変更にあたって福島は改めてBCリーグへの加盟が必要だった。以前、村山哲二代表は「安定した経営ができるかどうかを検討し(加盟)を判断したい」と話しており、すでに福島球団には「負債がある中で誠意ある対応をすること」を約束し加盟が承認されたという。明日11月22日に行われるドラフト会議に出席予定となっている。
福島は今オフ、ジョン・ボウカー内野手(元巨人など)多くの主力選手達の退団が決定した中で戦力面の低下も心配されていたが、ドラフト会議や移籍を経て入団する選手に対して「地元の選手はもちろん、福島の現状を知った上でプレーしてくれる選手に集まってほしい」と想いを語った。
会見の中で岩村監督の口から飛び出したのは「福島のために」という言葉だ。「福島の方々の優しさやあたたかさを感じている。原発問題もあって避難を余儀なくされている子供たちもいますし、ネガティブなイメージがあるのは悔しい。実際に住んでみて食べ物もおいしいし、全国に(福島を)PRしなけばいけない。そのために基盤をつくらなければ」と福島のことを第一に想っている。
このような想いを実現するためにはチームとしての勝利はもちろん、これまで不安定だった経営を立て直す必要がある。岩村監督は「新たなことができなかった。本当は(地域や企業と)コラボしたかったが、その余地がなかった」とこれまでを振り返る。これまでの反省を活かし福島レッドホープスは岩村監督の下、新たなスタートとなる。球団名通り、福島県をはじめ、BCリーグ全体の「赤い希望」となるため日々、前進する。来季は新生・ホープスの戦いに注目だ。
(豊川遼 / Ryo Toyokawa)