女子プロ野球、昨季0勝投手が最高勝率に輝いた理由 「何としてでも結果を」
今季15試合登板、3勝1敗1セーブ、防御率1.92、勝率.750をマークした堀田ありさ
女子プロ野球で入団2年目にして大きな飛躍を遂げた愛知ディオーネの堀田ありさ投手。今年8月、待望のプロ入り初勝利を皮切りにシーズン終盤には主戦を任せられ、終わってみれば最高勝率投手に輝いた。10月の年間女王決定戦では、2戦目の最終回から登板し胴上げ投手に。昨シーズン0勝と振るわなかった彼女へ今シーズン躍進の裏側に迫った。
――プロ2年目のシーズンとなった今季はどのような思いでシーズンに?
「今シーズンは先発ローテーションに入ることを目標にシーズンに臨みました。入団1年目の昨シーズンは、力及ばずに悔しい思いをしたので、何としてでも結果を残すぞと強い気持ちでプレーしていました」
――.750で最高勝利投手となったシーズン、成長を実感したことは?
「今シーズンは技術力の向上ももちろんですが、キャッチャーとコミュニケーションを取ることを意識してきました。そのとき、その状況、自分の調子によって投げる球やコースも1球1球変わってくるため、キャッチャーと意思を合わせておくことが重要になってきます。なので普段からキャッチャーの寺部歩美選手とコミュニケーションを取ってきました」
――ズバリ、好調の秘訣は?
「試合を重ねながら色々な調整の仕方を勉強して、試してきました。その中でも続けるようにしてきたのは、試合前に体のキレを出すため、ショートダッシュを多く取り入れました。ピッチング練習やキャッチボールなどをする前には必ず体幹をして、力を入れるべき所を体に意識させてからボールを投げるようにしていました」
――今シーズンの中で印象に残っている試合は?
「8月20日の埼玉アストライア戦です。プロ初勝利ができた試合です。昨年からあと一歩の所で、勝利投手になれない試合が多かったので本当に嬉しかったです。もうひとつあって、10月8日女王決定戦で、ツーアウトから登板した試合です。あとアウト1つで年間女王という場面で、緊張は少ししていました。でも、優勝とかは考えず、目の前の打者を抑えることだけを考え、マウンドに上がりました。
勝負球は必ず『得意球のスライダー』でいくと決めていました。そしたら、寺部さんから「スライダー」のサインが来たんです! 意思疎通ができたというか、シーズンを通して意識していた、キャッチャーとのコミュニケーションが大一番で出せて、さらに相手を抑えられて年間女王にもなれたので、すごく嬉しく印象に残っています」
――来シーズンに向けての意気込みを教えてください
「先発のローテーションの軸になることが目標です。1年間シーズン通してチームの力になれるようにプレーしたいと思っています。具体的には球速アップのため、リストトレーニングに取り組んでいきます。肘を固定しながら20キロのバーを使って、手首を上下に動かし前腕を鍛える練習方法です。入団したときのMAXが108キロだったんですが、今年116キロまでアップしました。
オフにこのトレーニングをした成果だと思っています。今年は投げている時、投げ終わった後の腕の疲れが軽くなりました。トレーニングをしているときは、腕がパンパンになってきついのですが、球を速くするため、結果を残すためと思ってこの冬も一生懸命取り組んでいきます。それに変化球の精度を上げるために握力を鍛えること、体がかなり硬いので、柔軟性を高めるようにストレッチを入念に行っていきます」
――シーズンで結果を残せて要因は向上心の高さ
「そんなことありませんよ(笑)。昨年入団したての頃は、プロのプレーのスピード感とか今までと全然違って、みんなに付いていくので必死でした。ようやく慣れてきましたけど、それでも周りにうまい選手ばかりいるので、負けないように頑張っています。野球をすればするほど、たくさん課題が見つかって「まだまだうまくなれる」と自然と思っちゃうんです。だからこれからも目の前の課題一つ一つを潰して、成長をしていきたいなと思っています」
結果を残しても一喜一憂せず、高みを目指して挑戦し続ける彼女の貪欲すぎるほどの向上心に、来シーズン更に大きな実を結ぶ多数の「芽」を見出しそうだ。
(Full-Count編集部)