海外選手契約をアシスト 元楽天・横山らNPB経験者も参加するチームが誕生
2月21日から米アリゾナ州へ、発起人の色川氏は「新しい自分を創ってほしい」
近年、野球選手の在り方は少しずつ変化してきており、プロ野球や独立リーグに進む選手、海外でのプレーを目指す選手など様々だ。プロ野球選手になることができるのはほんの一握りと言われている中、プロの夢を追って海外でプレーを模索する選手もいる。そんな中、2月21日から3月14日まで行われる米アリゾナ州での試合を通じてプロ契約を目指すチーム「アジアンブリーズ(Asian Breeze)」が誕生した。
アジアンブリーズの発起人はイランやパキスタンなどアジア3か国で代表監督を務めた色川冬馬氏。色川氏は「自ら考え、行動していく『主体性』を磨く機会が海外にはあります。選手たちにとってプレーだけではなく、普段とは違った環境で生活することは『新しい自分を創ること』にもつながります。今回、その機会を提供したいのです」とチーム設立の狙いを語る。選手たちに決して野球だけの人間で終わってほしくないという思いが込められており、プレー技術と人間性の両方の向上を目指すチームといえるだろう。
チームを率いるのはドミニカ共和国出身で現役時代は大リーグのタイガースやレンジャーズのマイナー、独立リーグで外野手としてプレーしたベニー・カスティーヨ氏。選手としては芽が出なかったが、その後は指導者として独立リーグで最優秀監督賞を受賞。その功績が認められ、マーリンズ、タイガースの傘下チームでも指揮を執った経験を持つ。
最優秀監督賞に選出された経歴からも世界中から集まる選手たちをまとめる高い統率力に期待がもてる。カスティーヨ氏の指揮の元で選手たちは大リーグ傘下のマイナーチームやアメリカ独立、メキシカンリーグチームとの対戦機会を得ることができる。
アジアンブリーズは現在、外野手のロースターが埋まったが、投手と内野手を募集中だ。既に元ヤクルトでオランダや豪州でもプレー経験がある中島彰吾投手、そして昨季限りで楽天を退団した横山貴明投手の参加が決定。日本のプロ野球や独立リーグ経験者でも入団できることができ、誰にでも海外に挑戦できる機会が用意されている。昨年は16歳の結城海斗投手や社会人野球・パナソニックに在籍した吉川峻平投手がそれぞれ海を渡る決意をするなど最近では野球選手の在り方が変化傾向にあり、選手自身の選択肢が広がろうとしている。
色川氏は昨年もアジアンブリーズのようなチームを創設。昨年は台湾各地で試合を行うことで中島投手ほか、選手の海外でのプロ契約を後押しした実績がある。今回はその第2弾。新たに舞台を米国に移し、大リーグ球団や独立リーグなどのスカウトが集まる前で選手たちは自身の力をアピールするチャンス。今後に期待だ。
(豊川遼 / Ryo Toyokawa)