少年野球の「変革」を目指して… 第3回‘Cambio’ベースボール・ミーティング開催
野球離れ、少年野球の健康被害など様々な問題について改革に取り組む
4月23日、東京都内で第3回「‘Cambio’ベースボール・ミーティング~少年野球有識者会議~」が行われた。
「Cambio」とはスペイン語で「変化」「変革」のこと。野球離れや少年野球の健康被害など、日本の少年野球をとりまく諸問題について改革に取り組む指導者、医師、野球団体幹部、メディア関係者などが一堂に集まり、1年の活動の成果と、今後へ向けた取り組みについて議論する場だ。今回は昨年を上回る約40人が参加した。
今回は、2部制となった。第1部は、慶友整形外科病院スポーツ医学センター長の古島弘三医師の講演、「医療側から見たこれからの日本野球」。日本におけるトミー・ジョン手術の第一人者であり、少年野球の健康被害について強く警鐘を鳴らす古島医師が、OCD(頭離断性骨軟骨炎)や、トミー・ジョン手術の実際の画像などを交えて実態を紹介した。
古島医師は「子どもにやさしい少年野球」の手本を示すために、この4月から群馬県館林市に少年硬式野球ポニーリーグのチームを設立した。
第2部では、主要なメンバーの活動報告が行われた。ボーイズリーグ東日本ブロック理事の飯田研二氏、古島医師、元慶應義塾高校野球部監督で、現慶應義塾大学野球部コーチの上田誠氏、元ロッテ投手で一般社団法人スポーツメディカルコンプライアンス協会を立ち上げ理事に就任した荻野忠寛氏、プロスペクト株式会社代表で、堺ビッグボーイズ代表の瀬野竜之介氏らが、活動報告を行った。
さらに鷲田康氏、氏原英明氏、中島大輔氏の3人のライターからもコメントがあった。その後、「球数制限→待球作戦」、「スポーツマンシップ」、「金属バット」、「トーナメント戦」のテーマでディスカッションが行われ、活発な意見交換があった。
この1年では「球数制限」の議論が高まり、日本高野連でも有識者会議で導入の是非が検討されるようになるなど、大きな成果があったが、一方で多くの少年野球指導者の意識は高いとは言えず、改革に向けて依然、問題が山積していることが明らかに。予定時間を超して熱い議論が行われた。
参加者は各方面で改革への努力を続けているが、より多くの関係者を巻き込んで、広範な取り組みをすべきであり、メディアは「今、少年野球の現場で何が起こっているか」「どんな改革が進んでいるか」をタイムリーに発信していく必要があることが確認された。
(広尾晃 / Koh Hiroo)