星稜奥川、復活の最速150キロ! 「雰囲気を変えたかった」カーブとの緩急差52キロ
春季北信越大会の初戦・砺波工戦で6回6K2安打無失点「あの一球は力を込めた」
昨春から北信越大会2連覇中の星稜が1日、第140回北信越地区高校野球大会1回戦・砺波工戦(富山)で6-0で完封勝ち。3連覇に向け順調なスタートを切った。今春の選抜大会2回戦・習志野戦以来の公式戦登板となった今秋のドラフト候補の奥川恭伸投手(3年)は最速150キロのストレートにキレのあるスライダー、100キロを切るカーブを織り交ぜ、6回を6奪三振無四球、2安打無失点と好投した。2番手で登板した荻原吟哉(2年)が2回を3奪三振無安打で締めた。
プロ注目の奥川が上々の再スタートだ。65日ぶりに立った公式戦のマウンドは「やや硬さがあった」という。それでも初回の先頭打者・武部に対して初球のストレートは146キロをマーク。2、3回に149キロ。4回の3番・斎藤への3球目で150キロをマークして球場がどよめいた。「(試合は1-0と僅差だったため)自分が150キロを出して雰囲気を変えたかったんです。あの一球は力を込めて投げたら(150キロが)出ました。初回から緊張していて、投げるごとにほぐれてきていたので、スピードが出せたと思います」と胸を張った。
選抜大会以降は4月上旬の練習試合で7回を投げ4失点で降板し、肩の張りを訴えて実戦から遠ざかった。5月上旬の練習試合で4回を投げ無失点と実戦復帰を果たし、この日が久々の公式戦だった。林和成監督に代わって指揮をとる山下智将監督代行は、「練習試合は最長4回しか投げていないし、本当は5回までと思ったんですけれど、展開が展開だったので(6回も)行くぞ、と言ったら、本人もそのつもりだったみたいです」と振り返った。捕手の山瀬は「久しぶりの公式戦で、緊張はありました。広く構えてはいましたが、余裕を持って投げられていたと思います」とエースの復活を感じ取っていた。
奥川は「公式戦独特の緊張感がすごくありましたが、回ごとに力が抜けていって体のバランスも良くなってきました」と久しぶりの公式戦を楽しんでいるようにも見えた。この日は98キロのカーブも変幻自在に操った。緩急差52キロ。これだけ緩急をつけられて、鋭く変化するスライダー、チェンジアップまで決められると、なかなか打てない。エースはまたひとつピッチングの技を身につけたようだ。
(沢井史 / Fumi Sawai)