高校野球地方大会決勝を振り返る 大阪大会「履正社vs金光大阪」
初戦から6試合52イニングを1人で投げ抜いた金光大阪・末友の乱調
6試合52イニングを1人で投げ抜き、わずか8失点。金光大阪のエース・末友雄梧(3年)は、4回戦では大阪桐蔭を破った関大北陽を1安打完封、5回戦では強力打線が売りの昨夏の優勝校・大阪偕星学園を相手に2安打1失点と堂々たるピッチングでチームを決勝まで導いた。しかし、初戦となった18日の槻の木戦から2週間でこれだけ投げていれば万全のコンディションで決勝のマウンドに臨むことは難しい。激戦となった前日の準決勝でも140球近くを投げており、立ち上がりからすでにストレートにいつもの威力は見られなかった。
初回、準決勝までほぼ全ての試合をコールドで勝ち上がってきた履正社打線はその隙を逃さない。1番・福田観大(3年)がライトオーバーの二塁打を放つと、北野秀(3年)が送りバントを決めた後、キャプテンの四川雄翔(3年)がセンター右へ先制の適時三塁打を放つ。さらに注目のスラッガー・安田尚憲(2年)もライトへの犠牲フライを放ち1点追加。海が近い舞洲ベースボールスタジアムはライトから逆風が吹いており、その風が無ければ柵越えは確実な打球の角度と飛距離だった。四川も安田も打ったのはスライダー。マウンド上の末友はストレートが走らないから本来ならキレの鋭い変化球が活きない。2回にも先頭・寺島 成輝(3年)がスライダーを捉えセンター前に弾き返す。この回は無失点で凌いだ末友だが、3回と4回に2点を失う。