大谷、“シフト”破ってサイクル 三塁ガラ空き「バントすればいい」も強打で達成
敵地の中継局も驚愕「歴史の一部になりましたね」
■エンゼルス 5-3 レイズ(日本時間14日・タンパ)
エンゼルスの大谷翔平投手が13日(日本時間14日)、敵地レイズ戦で日本人メジャーリーガーとして初となるサイクル安打を達成した。「3番・DH」で2試合連続スタメン出場。初回の第1打席で先制の3ラン本塁打を放つと、第2打席で二塁打、第3打席に三塁打を放って快挙に王手をかけ、7回の第4打席で中前安打。エンゼルス史上7人目(8度目)となる偉業を成し遂げた。
敵地中継局では、偉業にリーチをかけた4打席目に着目。レイズが敷いた左中間をガラ空きにした大谷シフトに対して「どうしても達成したければバントで」と異例の提言。そして、シフトを破るヒットを放った二刀流の男を「歴史の一部になりましたな」と称賛した。
マリナーズなどで日米通算4367安打を放ったイチロー元外野手も達成できなかった、サイクル安打に単打を残して王手をかけた大谷。7回2死一塁の場面で登場すると、敵地セントピーターズパークでレイズ戦を中継している「FOXスポーツ・サン」も異例の緊急特集をスタートさせた。
バットを肩に乗せるポーズを決めた大谷のキメ動画を紹介すると、実況は「ここでショウヘイ・オオタニです。今夜は凄まじい活躍です。ホームラン、二塁打、5回には三塁打。サイクル達成にはヒットだけが必要です。エンゼルスで彼以外に達成したのはマイク・トラウトです。シアトル相手に2013年5月に達成しました。エンゼルスでそれ以外に達成したのは2006年のショーン・フィガンまで遡ります」と、この夜の大谷の活躍ぶりとエンゼルスのサイクル達成者を紹介した。
その直後、フィールド上の異変を伝えた。「見てください。レイズはシフト発動です!」。レイズは、三塁手のロバートソンが二塁近くに、遊撃手のアダムスが二塁手の位置に、そして、二塁手のロウは一、二塁間の深いポジションに位置取り、“大谷シフト”を敷いた。
フィールド上の右側を固めたレイズのシフトに、解説を務めたエンゼルスOBのブライアン・アンダーソン元投手も愕然。「通常ならば2ストライクで発動するのですが、レイズはショウヘイ・オオタニに二、三塁間を差し出しましたよ。彼がどうしても(サイクル安打を)達成したいと言うなら、バントすればいい。それでヒットなんです」と語った。
誰もいない三塁方向にバントで転がせば、サイクル達成な状況に。だが、ア・リーグ東地区でヤンキースと首位争いを展開するレイズは、この接戦の状況で、確たる戦略があったとアンダーソン氏は指摘。「レイズは2アウトで走者がいるので、勝負に出ました。オオタニのパワーです。強打してくると賭けたのです」と分析していた。
この状況で、大谷はバントを選ぶようなことはしなかった。フルカウントから粘った8球目を強打。遊撃手アダムスの頭上を抜けた。「打った。ヒットだ。ラステラが三塁に。オオタニはヒットでサイクル達成です。オオタニは本塁打、二塁打、三塁打、ヒットの順番で達成しました」と、実況はまくし立てた。アンダーソン氏は「これで歴史の一部になりましたね」。オープナーなど斬新な戦術でメジャーを席巻するレイズの大谷シフトを打ち破るヒットで、ショータイムは伝説となった。
(Full-Count編集部)