甲子園V監督が考える初戦の難しさ 集中力高めるために飲ますコーラの威力

智弁学園・小坂将商監督【写真:編集部】
智弁学園・小坂将商監督【写真:編集部】

2016年センバツVの智弁学園・小坂将商監督 練習で厳しい言葉の種を撒き、試合になると優しく水を与える

 各地で甲子園への切符をかけた熱戦が始まっている。今春の選抜を制した東邦(愛知)が2回戦で敗れ、健大高崎(群馬)が初戦で敗退するなど、夏に勝つことの難しさを改めて感じさせられる。毎年のように優勝候補として挙げられるチームへかかるプレッシャーは相当なもの。春夏あわせて30回の甲子園出場を誇る智弁学園(奈良)で、自身も選手として1回、監督として10回、甲子園出場の小坂将商監督に、初戦の入り方について尋ねた。

「毎年、初戦が一番難しい」というのが本音。そもそも高校生の選手たちが平常心で試合に臨むのは簡単ではないはずだ。小坂監督は「日頃から、注目されているという意識を持たせるようにしている」という。視線を浴びることを特別と思わないことが大切だ。確かに、智弁学園の選手たちはグラウンドではもちろん、ユニホームを着ていないときでも挨拶や行動が機敏なイメージがある。当たり前なのかもしれないが、全員がそれをきっちりできるチームは多くない。

 人心掌握に長けている小坂監督のうまさは、毎日の“種まき”にも隠れている。智弁学園のグラウンドにはいつも、選手以上に小坂監督の元気な声が響き渡っている。

「日頃はガミガミガミガミ(笑)。選手たちに厳しいことを言っているんですけど、大会では逆に優しく言うようにします。そうすると、和やかになる部分もあるので」

 練習で厳しい言葉の種を撒き、試合になると優しく水を与えるのだ。特に試合の直前は、声をかけすぎても逆効果になることもあるからと余計なことは言わず、じっくりと見守る。練習後には学校近くのお風呂に連れて行ったり一緒に食事にいったりと選手たちがリラックスできるような心遣いも。ほとんどの選手が寮生活のため、グラウンドから離れた時間も大切なコミュニケーションの場となるのだ。

 試合の組み立て方も面白い。「うちは試合を前半と後半に分けてやるんです」というように、1~5回、6~9回と2つに分けて作戦を立てていく。前半がうまくいかなかった時にはベンチ内での選手との会話をより多くするよう心掛けているそうだ。さらに試合に集中するための驚きのアイテムがある。

「コーラを飲ますようにしているんですよ(笑)。糖分を摂らないと集中力がきれるので。喉も乾いていますし、それが1番いいかなと」

コーラにたどり着いた指揮官 「チョコレートだと喉に詰まる」「生徒に呪文をかけているようなもの」

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