侍ジャパンU-23代表を世界一に導いた手腕 斎藤雅樹監督の懐の深さ

自軍から招聘された選手はゼロ「普通はいるよね、1人2人ね(笑)」

 10月28日からメキシコ・モンテレイで開催された「第1回 WBSC U-23ワールドカップ」。記念すべき第1回大会で日本代表を見事頂点に導いたのが、巨人2軍監督を務める斎藤雅樹監督だった。

 決勝でオーストラリアに圧勝すると、背番号「77」にちなんで7回胴上げされた指揮官は満面の笑みを浮かべ「今年はいろんなところでされてるからね。(胴上げは)これで3回目。ありがたいです」と声を弾ませた。今季から巨人2軍で指揮を執った斎藤監督は、イースタン・リーグ優勝で1回、ファーム日本選手権で1回、そしてこのU-23W杯と合計3度宙に舞った。年間を通じて率いたチームと、結成から解散までわずか3週間ほどの即席チーム。それぞれでつかんだ頂点は、また違った味わいだっただろう。

 10月22日、メキシコに旅立つ前の事前合宿に集まった侍ジャパンU-23メンバーの中に、巨人の選手は1人もいなかった。メンバー選考段階では数名含まれていたが、いずれも怪我であったりチームや諸般の事情により、最終的にはメンバー入りせず。「50(歳)にして初めてジャパン選出だ」と笑う指揮官だけが、侍ジャパンのユニフォームに袖を通した。

「普通はいるよね、1人2人ね(笑)」と言うが、自軍の選手はゼロ。対戦したことはあっても深く関わったことのある選手はいない。言ってみれば、完全アウェー状態だ。今季は日米大学野球では大学代表が勝利、U-15W杯では準優勝、U-18代表はアジア選手権優勝、女子代表はW杯優勝と、各世代が軒並み好成績を収める中、前身大会でもある2014年の「第1回 IBAF 21Uワールドカップ」で準優勝だったU-23代表には、優勝は当然、最低でも準優勝というプレッシャーがのしかかっていた。

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