大谷翔平は「誰も真似できない逸材」 通算354盗塁のアストロズ三塁コーチが絶賛

エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】
エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

アストロズのペティス三塁コーチが走塁称賛「読む力がある」

 昨季終了直後に右肘手術を受けたため、今季は二刀流を封印し、打者に専念しているエンゼルスの大谷翔平投手。今季は主に「3番・DH」として90試合出場で打率.302、16本塁打、54打点、11盗塁と好成績を残している。特筆すべきはその韋駄天ぶりで、8月19日(日本時間20日)敵地レンジャーズ戦で三塁打を放った際には、11.09秒で三塁まで到達。これはMLB公式データシステム「スタットキャスト」が導入された2015年以来、エンゼルスではトラウトに次ぐ2番目に速い三塁到達タイムを記録した。

 凡打を内野安打にし、二塁打を三塁打にする。あるいは、走者として立つ一塁ベースから、後続のヒットで三塁、本塁と陥れる。そんな大谷の快足に「誰もが予想していなかった才能じゃないか」と舌を巻くのが、同地区ライバル、アストロズのゲリー・ペティス三塁コーチだ。

 1979年ドラフト6巡目でエンゼルス入りしたペティス氏は、主にセンターとしてレギュラー出場。1992年に引退するまでタイガース、レンジャーズなどメジャーで11年を過ごし、ゴールドグラブ賞を5度受賞した守備の名手だ。同時に俊足でも鳴らし、1985年の56盗塁を筆頭にシーズン40盗塁以上を5度記録。通算354盗塁を誇るペティス氏は、走塁に最も大切な「読む力」を大谷は備えていると見ている。

「打者走者として走る場合でも、塁上にいる走者として走る場合でも、まずは相手の外野手がどんな動きをするか、どの程度の強さの肩を持つのかを知っておく必要がある。加えて、アウトカウントだったり、走者の有無であったり、球場だったり、状況も大きく影響してくる。そういった要素を踏まえた上で、一手先がどうになるか推測する、つまり読む力が鍵を握るんだ。彼には読む力がある。オオタニ自身、外野手だったというから、その経験も大きく生きているだろうね」

 同地区ライバルとして、大谷の活躍を心から楽しむわけにはいかないが、一人の野球人としては「投・打・走」のいずれも一流レベルでプレーする若者の登場を喜んでいるという。

「彼は打っても、走っても、投げても一流レベル。メジャーに来る前は投手としての才能に注目が集まっていたが、打者としてもあんな才能を持った選手はなかなかいない。加えて、あれだけ身長があるのに、走塁に優れているなんて、誰もが予想していなかった才能じゃないか。誰もトラウトの真似をできないし、誰もアルトゥーベの真似はできない。それと同じで、オオタニも誰も真似できない逸材だと思うよ」

 かつて走塁のスペシャリストだったライバル球団のコーチすら唸らず大谷。今年のレギュラーシーズンは残り30試合ほどとなったが、この先も見る者の目を楽しませるプレーを披露してくれそうだ。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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