費用対効果は度外視? メジャーリーグ高年俸の実情
いまだ上昇傾向にある選手の年俸
不況など、どこ吹く風といったところか。メジャーリーグでは、選手の年俸がいまだに上昇傾向にある。
今季は上位125選手の平均年俸で決まるクオリファイング・オファー(※)が1410万ドル(約14億円)とはじき出され、昨季の1330万ドルよりも80万ドル(約7900万円)も増加。近年では5年以上の大型契約も目立ち始めている。
ポスティング・システム(入札制度)でのメジャー挑戦が確実視される楽天の田中将大(25)についても、メジャーでの実績が全くないにもかかわらず、5年総額6000万ドル(約59億円)、6年総額6500万ドル(約64億円)といった契約が結ばれると予想されている。その背景には何があるのか。そして、選手には本当にそれだけの価値があるのだろうか。
米全国紙USAトゥデーによると、今季の最高年俸はヤンキースのアレックス・ロドリゲス(38)の2900万ドル(約28億6000万円)で、10年契約の6年目だった。今季は、薬物問題で大きな“存在感”を見せたが、故障もあり肝心の成績は振るわなかった。昨年もプレーオフで大不振に陥り、ファンから強烈なブーイングを浴びている。
一方で、薬物規定違反での処分が出された後には、ヤンキー・スタジアムがAロッド見たさに足を運んだ大観衆で埋め尽くされた。歓声の半分はブーイングだったものの、Aロッドの持つ集客力はいまだに衰えておらず、グッズの売り上げでも球団に貢献していることは間違いない。しかし、44試合の出場に終わったことを考えれば、29億円の価値はなかったと言えるだろう。実際に、ヤンキースは不良債権として“処分”したがっている。