3年連続日本一へ初戦を飾ったソフトバンク 苦手の山口俊から3点を奪った狙いと“諦め“
2回にグラシアルの2ランで逆転、6回には中村晃の犠飛で3点目
■ソフトバンク 7-2 巨人(日本シリーズ・19日・ヤフオクドーム)
19日に行われた日本シリーズ第1戦を制したのは、パ・リーグ2位からクライマックスシリーズを勝ち上がってきたソフトバンクだった。巨人先発の山口俊からグラシアルが2ランを放つなど3得点。マシソン、田口のリリーフ陣から一気に4点を奪って突き放し、7-2で快勝した。
終わってみれば、10安打で7得点。西武とのクライマックスシリーズファイナルステージから5試合連続の2桁安打と打線が繋がった。投手陣も先発の千賀が7回3安打1失点に封じるなど、巨人に2点しか与えず。投打ともに完勝だった。
2回にグラシアルがインコースの真っ直ぐを弾き返して逆転2ランを放つと、6回には牧原の二塁打を皮切りに満塁のチャンスを作って、中村晃の犠飛で3点目を奪った。相手は苦手としていた山口俊。5安打だったが、3得点を奪って勝利を呼び込んだ。
山口俊はゆったりとしたフォームから150キロ前後の真っ直ぐと斬れ味鋭いフォークが最大の武器。交流戦でも苦戦を強いられたセ・リーグの奪三振王に対し、ソフトバンク打線はどう対抗したのか。
立花義家打撃コーチは試合前の段階で「低いボールはしょうがない。捨てていい。それで打てなくてもしょうがない」と語っていた。山口俊の最大の武器であるフォーク。それが、低めの良いところに決まってしまえばしょうがない。重要なのは”割り切り“、悪く言えば”諦め“か。そこに対応するのではなく、真っ直ぐや浮いた変化球に狙いを定めた。
ソフトバンク打線は4回まで7個の三振を食らった。捨てていたフォークで空振りを奪われ、低めの真っ直ぐで見逃し三振も奪われた。ただ、そこはあくまでも想定の範疇にあった。打者にとって、打撃を狂わせる1つの要因が”悩むこと“。低め、フォークを捨てたことでバッティングに、あくまでも相手の配球に対しての“悩み“がなくなった。
4回の攻撃の前にはベンチ前で円陣を組み、6回にも選手がベンチ前に集まった。巨人バッテリーの配球が変化球が多いと見ると、立花コーチは「外野フライを打ちにいこう」と指示を出したという。低めの変化球は引っかけて内野ゴロになる確率が高い。ボールを後ろから見る意識、そして高めを弾き返す意識を打者が持った。
6回は牧原が浮いたボールを右翼線に弾き返し、満塁で中村晃が中飛を打って、これが犠牲フライになった。5安打3得点は完璧に攻略したとは言い難いが、大量点が望めないであろうことは想定していた。その中でいかに1点でも多く点を取るか。その狙いは、ある程度、成功したと言えるだろう。
(Full-Count編集部)