MLB人気は本当に低迷しているのか NY紙が考察、NBAやNFLとの違いとは?
観客動員減少、視聴率低下、認知度もNBAやNFLとは雲泥の差…MLBの人気低迷が話題に
メジャーリーグの人気低下が取りざたされている。米紙「ニューヨーク・タイムズ」は「野球の人気は本当のところどうなのか」とのタイトルで特集。他の人気スポーツなどと比較しながら、MLBの現状を伝えている。
記事では「MLBとそのファンは、アメリカでの野球人気が衰えているのではないかと懸念している。観客動員が減少し、ワールドシリーズの視聴率低下、米全土に名の知れたスター選手の不在などが、今後野球が崩壊してしまうかもしれない証拠として取り上げられている」と伝えた上でこうも記した。「チケット販売の総数、ローカルテレビの視聴率から見ると、もっとポジティブな実情が浮かび上がる。それは、強力なローカルファン層である」と。
MLBの観客動員数が2012年以降減少し続けているのは「有名な話だ」と指摘。2019年レギュラーシーズンには約6850万人がMLBの試合に足を運んだ。ピークの2007年は8000万人近かったので「それに比べると減少している」と指摘している
一方でMLBは試合数が多く、チケット販売数ではNFLやNBAを超えており「MLBは少なくともレギュラーシーズンで2430試合あり、NFLの256、NBAの1230と比べて試合数が多い。MLB傘下のマイナーリーグの160チームでも、2017年に約5000万のチケットが売れた。多くの人が多くの野球の試合に訪れている」とも伝えている。
そして、NFLのトム・ブレイディ、NBAのレブロン・ジェームズ、MLBのマイク・トラウトという3人のスーパースターを比較。英世論調査会社の「YouGov(ユーガブ)」によると、アメリカ人の91%はジェームズを聞いたことがあり、88%はブレイディを聞いたことがあるが、エンゼルスのトラウトを聞いたことがある人は、たった43%だったと指摘。その理由はテレビ放送の状況にも現れているとしている。
「ニューヨーク・タイムズ」の分析によると、NFLとNBAのスターは全米レベルで広範囲にテレビに露出している。しかし野球界のスター・トラウトらはそのようなことが極端に少ないという。米国の郡別のテレビ放送では昨年、100%の郡がブレイディの試合の1/4を少なくとも放送、98%の郡がジェームズの試合の1/4を少なくとも放送する一方、トラウトの試合を少なくとも1/4放送した郡は僅か1%に過ぎなかったという。
記事は「カリフォルニア以外でトラウト(=エンゼルス)の試合が放送されることはとても少ない。2018年の162試合のうちシカゴで放送されたのは僅か6試合である。それに比べてジェームズは82試合のうち約42%、ブレイディの16試合の56%ほどがシカゴで放送された」と指摘。「野球は、地元以外はほとんどテレビ放送されないため、他のスポーツのようにスターの知名度が全国区になることが難しい」としている。