着実に数字を残す加藤豪将 メジャーに昇格する可能性は?
OPS9割超え。本人も「予想以上」と語るルーキーリーグでの活躍
18歳の日本人が「ヤンキースの星」になろうとしている。順調に行けば、そう遠くない未来に、メジャーで躍動する姿を見られるだろう。加藤豪将の実力は本物だ。
今年6月、アメリカ育ちの高校生がメジャー随一の名門球団からドラフト2巡目で指名を受け、日本中に衝撃を与えた。カリフォルニア州ランチョバーナード高の「カトウゴウスケ」。その正体はベールに包まれ、日本のメディアが漢字を特定するのに1日かかったほどだ。ただ、実はメジャーのスカウトの中では知られた存在で、ヤンキースのドラフト指名を統括するオッペンハイマー副社長は「彼を2巡目で指名できて、とても興奮している」とまくし立てた。
幼少時に渡米し、本場で野球を学んできた異色の経歴を持つ。ドラフト指名を受けた当時は、日本で見られるプレー映像なども限られていたが、ルーキーリーグが開幕すると、ただ者ではないことがすぐに証明された。ヤンキースが所属するガルフコースト・リーグでトップタイの6本塁打を記録。長打率5割2分2厘は2位で、メジャーで重要な評価基準の1つとされるOPS(出塁率と長打率を足したもの)は9割2分4厘と堂々たる成績を残した。
「予想以上ですね。ライナーで塁に出ようと思っているんですけど、時々、ライナーが高くいってホームランになるというケースが多かった。長打率も気にしてないです」。本人も驚くほど打撃の力強さが際立った。打率3割1分もトップ10の中に入り、開幕当初は6番や2番を任されていたが、終盤は米国で最強の打者が座るとされる3番に定着。期待の高さがうかがえる。
セカンドの守備の評価も高い。日本人の内野手は、これまでメジャーで苦しんできた。特に、二塁上での併殺崩しを狙った激しいタックルでは、岩村明憲、西岡剛が餌食となって重傷を負ったが、加藤はこれを苦にしない。いとも簡単にスライディングをかわし、バランスを崩さずに一塁への送球ができる。
「ここでは毎日練習しているので、ダブルプレーにはプライドを持っている。日本とは違う野球なので、アメリカでやっていることもありますし、1回(自分も)ここでやられたので、注意してケガしないようにやっています」。アメリカで下地を作ってきた「金の卵」なら、日本の名手たちが跳ね返されてきた高い壁を越えることができる。