タイ初の野球専門トレーニング施設がバンコクにオープン 広がる野球普及の輪
“タイ野球の父”青山氏、同国リトルリーグ代表の萱沼氏らが尽力
アジアの野球新興国、タイに野球普及を後押しする施設が誕生した。12月19日、首都バンコクに野球専門トレーニング施設「Besides Sports」がオープン。地上4階建てのビルの中には人口芝の室内練習場が完備され、子どもたちの育成に一役買うことになりそうだ。
2階には最新鋭のバッティングマシーンを導入した打撃ケージ、3階にはジムとスタジオ、4階には空調がついた約20メートル四方のミニ野球場(人口芝)という立派な施設。タイと言えば、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)の世界ランキングでは45位、アジアでも野球途上国にあたるが、野球を普及させたいと願う人々の想いは熱い。少しでも多くの子どもたちが野球に触れあい、安全に練習できる場所があれば――。そんな思いから施設の建設に乗り出したのが、“タイ野球の父”とも呼ばれる同国野球連盟の青山功氏と同国リトルリーグ代表の萱沼利幸氏だ。
青山氏はおよそ30年前、大学卒業後に就職のために訪れたタイに野球という文化がないことに驚かされた。山梨県で高校球児だった青山氏はバットとボールを手に持って、タイの街で「野球とはなんぞや」から伝える普及活動を開始。その輪は次第に広がりを見せ、タイ代表チームを結成できるまでになった。同国代表監督を務めながら、野球が文化として根付くには育成の大切さに気付いた青山氏は、2001年にバンコクサンダースというリトルリーグのチームを立ち上げ、現在も普及に尽力。青山氏の活動に賛同した萱沼氏が加わり、今回の施設が誕生した。
日本では野球人口の減少が叫ばれて久しいが、世界に目を向けても野球に親しむ子どもたちは減っている。その中で野球途上国にあたるタイで、子どもたちが野球を知り、触れ合う環境が生まれたことは大きな可能性を生み出しそうだ。なかなか注目されづらいことではあるが、世界各地に散らばる野球を愛する人々のたゆまぬ努力が野球の未来を支えている。