大学野球の全国大会でも使い手が出現 スローボールは武器の一つとして定着するか

今夏の甲子園で話題となったスローボール

 今年の野球界で、一つの論争を巻き起こしたスローボール。打者を欺くように、フワっとしたボールで捕手のミットに収まる。

 時にはホームベース前でワンバウンドしたり、キャッチャーが片手で取れるのではないかというくらいのスピード。夏の甲子園、南北海道代表の東海大四の西嶋亮太投手が福岡代表の九州国際大学付属との試合で“自称”球速50キロのボールを多く投げ、甲子園球場のどよめきを誘った。テレビの中継では弧の最高点が画面に映らなかった。

「ストライクを取る必要はありません。打者がイライラしてくれればいいです」と西嶋は言った。

 本人が「スローカーブ」とする50キロ台のスローボールと最速138キロほどの直球の緩急差約80キロで勝負し、打者の目線を変えることに成功。後にドラフト会議で指名のかかった清水優心(日本ハム2位指名)や古澤勝吾(ソフトバンク3位指名)ら、パワーヒッターが多い九国大付打線は最後まで的を絞り切れなかった。西嶋は12三振を奪い、チームも6ー1で勝利。体は大きくなくても、自分なりに勝負できる球を考えて磨いてきた。その努力が優勝候補のチームを1失点完投で抑え、撃破する要因の一つとなった。

 西嶋が投げたことでスローボールに関して賛否の声が続出。メジャーの舞台で投げているレンジャーズのダルビッシュ有が「自分としては一番難しい球だと思っています」とツイートするなど、野球界で話題となった。ボールゾーンからストライクゾーンに入ること、140キロのストレートを投げる時とは違った体の使い方をすること、審判からストライクの判定を受けにくいことなど、スローボールを使いこなす条件は厳しい。頭脳的なピッチングとも言える。

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