神戸の野球肘検診で「スポーツリズムトレーニング」 プロ野球も取り入れ、怪我減少
「スポーツリズムトレーニング」で緊張をほぐした状態で、検診を実施
1月26日に神戸市で行われた「第4回神戸野球肘検診」には750人を超える小中学生球児が参加し、野球肘検診を受診した。野球肘検診そのものは他地域と変わらないが、この「神戸野球肘検診」ではユニークな体験ができる。その1つが「スポーツリズムトレーニング」だ。
受付を終えた子供たちが4~5組に分かれて整列。リズム感のある音楽が流れる。少年たちはインストラクターの動きを真似て最初は手拍子から始まり、飛び跳ねる、飛びながらいろいろな動きをする、など次第に複雑な動きに挑戦するのだ。
会場にはパーカッションのリズムが響く。そのリズムに乗って、子供たちはジャンプしたり、手を振り上げたり、体を動かしていく。最初は、恥ずかしそうに、控えめに体を動かしていた子供たちも次第に大胆にジャンプし、手足を大きく振り回すようになる。最後は笑顔になって、順番を待っているうちからリズムに乗って体を動かすようになる。
来場した子供は、肘のエコー検査や理学療法士による関節検査などを目の当たりにしてやや緊張気味だ。しかし「スポーツリズムトレーニング」を体験することで緊張はほぐれ、ゆったりした気分で検査を受けることができるようになる。
「ここに来ているお子さんたちは、野球をしておられるので運動神経はあると思いますが、リズム感はまた別です。中にはリズム感がよくないお子さんも見られます。でも、リズム感はトレーニングすれば高めることができます。スポーツリズムトレーニングは、リズム感を高めることで運動パフォーマンスを向上させるトレーニングです。このトレーニングをすることで動きにメリハリがつき、パフォーマンスも向上しますし、けがの予防にもつながります」。一般社団法人スポーツリズムトレーニング協会公認インストラクターの小林萌さんと竹谷吉弘さんは、こう話す。
スポーツリズムトレーニングは横浜DeNAベイスターズや千葉ロッテマリーンズなども取り入れている。試合前のグラウンドでは、選手たちがトレーナーの指導で、リズムに乗って体を動かすシーンが見られる。このトレーニングを取り入れたことで下肢の故障が減少したという。
このスポーツリズムトレーニングをすることで、子供たちの表情はどんどん明るくなっていった。メンタル面でもよい影響があるという。
「リズムに乗って体を動かすことで、気持ちもだんだん高揚してきます。このトレーニングは短時間の間に『ラインを踏まない』『リズムに合わせる』『動作を制御する』などの課題に挑戦することになります。これによって脳を刺激し、より良い集中状態へと導いていくんです」
野球肘検診の会場でこうした新しい体験もできる。野球少年にとってメリットがたくさんあるイベントだということができるだろう。
(広尾晃 / Koh Hiroo)
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