「失策は悪」は時代遅れ 怒声・罵声に続く指導者に求めたい「積極守備」への理解
日本野球では指導者は選手が失策をすると厳しく叱責するようになった
日本の少年野球では、指導者が失策をした子供に対して厳しい声をかけることが多い。アメリカなどでは「失策」に対する考え方が違うため、見られないことだ。
少し前まで、日本の少年野球では指導者が失策をした子供を叱責するのが当たり前になっていた。「しっかり捕れ」など具体的な指摘ならまだしも「馬鹿野郎!」など子供を罵倒する指導者も多い。こうした指導の根本にあるのは「失策は悪」という考え方だ。
野球は明治初期にアメリカの「お雇い外国人」から、当時の大学生に伝わったのが最初だとされる。初期の日本野球では大学生の目標は、横浜に駐留する外国人チームを打ち負かすことだった。体格差のある外国人相手に勝つのは、並大抵のことではなかったが、日本チームはゴロを転がし足を使って点を取り、その点を堅い守備で守り抜くことで勝利をつかんだ。
こうした経験が原点となって、「守り」を固めるのが日本野球の原点となった。守備が基本とされ「エラー(失策)をしない」ことが、重要視されるようになった。以来、日本野球では、指導者は選手が失策をすると厳しく叱責するようになった。
そして、失策しないために腰を落として打球を正面で捕るのが大事だとされるようになった。「失策」を「気の緩み」だと考える指導者は多い。このために失策すると「たるんでいる」「根性がない」という叱声が飛んだ。
近年、こうした従来の指導に対する疑問の声が上がっている。「失策できない」「失策したら叱られる」と思うと、選手は体が硬くなる。イレギュラーバウンドなどへの対応が遅れることにつながりかねない。