黒田博樹と田中将大 ニューヨークで築き上げた真の信頼関係
誠実な人柄でメジャーでも信頼を集めた黒田
ヤンキースからフリーエージェント(FA)となり、広島復帰を決めた黒田博樹投手は、その誠実な人柄でメジャーでも信頼を集めた。現在、現役ナンバー1投手とも言われるドジャースのクレイトン・カーショーと熱い友情で結ばれているのは有名な話。昨年は、ヤンキースの対戦相手に所属する日本人投手が試合前に外野で練習中の黒田のもとに駆け寄り、話し込む姿もよく見られた。
日本人選手同士が試合前に雑談を交わす光景は日常的にあるが、黒田の周りには自然と輪ができ上がり、野球談義にも花が咲いた。松坂大輔、岩隈久志、ダルビッシュ有ら先発投手が一目を置く存在。上原浩治、田澤純一といった救援投手もヤンキースとの対戦の度に、先輩右腕のもとに足を運んだ。
そして、昨シーズンはチームメートとして1年を共に過ごした田中将大投手も、黒田に絶大な信頼を置いていた。
昨年1月、ヤンキース入団が決まると、田中はすぐにイチローと黒田に電話で連絡を取ったという。2月の入団会見の時には、同じ先発投手である黒田について「いろいろと聞いてみたいです。見て、勉強したい」と話している。
その数日後、フロリダ州タンパでのキャンプに臨むため、バッテリー組集合日に初対面した際は、お互いに時間がなかったこともあり、あいさつを交わしただけだった。それでも、黒田は「できる限りサポートしたい」と約束。その言葉通り、翌日に練習がスタートしてからは、英語やメジャーでの練習法に慣れていない田中をさりげなくサポートし「自分を見失わないことが大切」と報道陣を通じてアドバイスを送っている。