【私が野球を好きになった日7】女子野球侍J主将・出口彩香が憧れた広島・前田
2018年女子W杯で6連覇を達成時の主将、きっかけは熊本工出身の父と一緒に行った横浜スタジアム
Full-Countでは選手や文化人、タレントら野球を心から愛し、一日でも早く蔓延する新型コロナウイルス感染の事態の収束を願う方々を取材。野球愛、原点の思い出をファンの皆さんと共感してもらう企画をスタート。題して「私が野球を好きになった日」――。第7回は埼玉西武ライオンズレディースでプレーする侍ジャパン女子代表主将を務めた出口彩香内野手の思い出を紹介する。
過去3度の女子野球ワールドカップに出場し、侍ジャパン女子の6連覇に大きく貢献している出口選手。主に遊撃手を務め、そのリーダーシップでチームをまとめてきた。今年からは埼玉西武が支援する女子クラブチーム「埼玉西武ライオンズ・レディース」で本格活動する予定だったが、彼女たちも制限されている中での活動となっている。背中で引っ張るリーダーに大きな影響を与えたのは元広島の天才打者・前田智徳外野手だった。
出口さんは神奈川・茅ヶ崎出身。兄の影響で野球をはじめ、野球の名門、熊本工出身の父によく連れられて横浜スタジアムへ足を運んでいた。
観戦していたのは主に父が大好きだった広島の試合。レフトスタンドで見た野球に没頭した。小学3年生くらいの時だった。
「父が同じ高校出身の前田智徳さん(現・野球解説者)の大ファンで、試合は基本的に広島カープ戦。スクワット応援もやってましたよ。『かっとばせー! 前田!!』ってやっていました。一生懸命に応援していたら、『今日、何か買ってあげるから』という言葉につられていました」
選手たちが手を振ってくれることがうれしくて、何気ないファンサービスにどんどん心を奪われていった。野球が大好きになり、自分でもプレーしながら魅力に取りつかれていった。ただプロ野球選手を近くで見るようになると、体の大きさに驚くようになっている自分がいた。
「この人たちすごいなという感情になってきました。何がというならば、プレーもそうですし、体が大きくて……。プロ野球選手って『こんなに大きいんだ!』と思っていました」
当時のカープの選手の体の大きさに驚いていた。はじめから前田選手のすごさを知っていたわけではない。野球をわかりはじめてから、YouTubeなどで動画を見たりしていて「私が応援していた人、凄い人だったんだなって思いました」と後からその偉大さに気が付いたという。カープ時代にベストナイン4度、高度な打撃技術は「天才」と呼ばれ、アキレス腱断裂などの怪我とも戦った男の背中は、永遠に忘れることはない。