「僕も同じ思い」―イチローとプホルス、同期の大打者2人が抱くリスペクト
稀代の打者が互いに寄せる思い「不思議な縁を感じることがある」
2017年6月3日、エンゼルスの誇るスラッガー、アルバート・プホルスは、満塁ホームランという最高の形で史上9人目の600号本塁打を達成した。
本拠地でのツインズ戦。4回裏2死満塁の場面で、ツインズ右腕サンタナがカウント1-2から投げた4球目スライダーを捉えると、天にも届きそうな特大“ムーンショット”が左翼席に着弾。本拠地ファンの目の前で歴史を刻んだ。
それから約1週間前。交流戦でマイアミに遠征したプホルスは、久々に再会したイチローと大きなハグを交わした――。
2001年4月2日。2人は同じ日にメジャーデビューを飾った“同期”。同年、161試合に出場し、打率.329、191安打、37本塁打、130打点を挙げたプホルスは、ナ・リーグ新人王を受賞。157試合に出場したイチローは、打率.350、242安打、56盗塁を決め、ア・リーグ新人王とMVPを同時受賞した。
かたや日本球界で実績を積んだプロ10年目の27歳“ベテラン”。かたやミズーリ州のコミュニティカレッジからドラフト13巡目でプロ入りした2年目の21歳。日本人とドミニカ共和国人。プロフィールこそ全く異なる2人だが、共通しているのは野球に対する真摯な姿勢。そして、メジャー17年目を迎えた今も現役を続け、歴史を塗り替える活躍をしていることだ。
「イチローは、現代が誇る偉大なるプレーヤーの1人。今もなお活躍し続ける体を保ち続けることは、信じがたいほどだよ。時折言葉を交わすチャンスに恵まれるんだけど、彼は人間としても素晴らしい。この前もマイアミに行った時に『3000安打おめでとう』って伝えたんだ。“同期”デビューということもあって、なんだが不思議な縁を感じることがあるんだ」
そんなプホルスの思いを伝え聞いたイチローは、柔らかな表情を浮かべながら「僕も同じ思いですよ」と話した。